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FXコラム

2018.12.05

原油市場動向

著者:古金 義洋


●サウジ、ロシア、米国の増産が原油価格を急落させた

12月1日、G20首脳会合において、
プーチン露大統領はサウジのムハンマド皇太子と会談し、
OPECプラスの延長を発表した。

プーチン大統領は
「生産量に関する最終決定はなされていないが、
サウジアラビアと協力して実施する」とし、
「いかなる生産量でも、それは共同決定に基づくものだ。
われわれは市場の状況を注視し、迅速に反応する」と述べた。

OPECとロシアは協調減産を維持し、
原油価格が下げ止まるとの期待があるが、
このところの原油価格急落を招いた張本人が
サウジアラビアとロシアであることも事実だ。

原油WTI価格は、
10月3日の76.4ドルから直近では一時50ドル割れとなった。

この間、サウジ、ロシア、米国の原油生産量がどう推移したかをみてみよう。

IEAによれば、
サウジアラビアの生産量は4~6月の1,014万バレルから
7~9月1,043万バレル、10月には1,065万バレルと増加した。

同様に、ロシアは4~6月1,138万バレル、7~9月1,165万バレル、
10月1,179万バレルと増加した。

米国も4~6月1,506万バレル、7~9月1,596万バレル、
10月1,608万バレルと増加した。

3か国を合計した生産量は4~6月3,658万バレル、
7~9月3,804万バレル、10月3,852万バレル。

4~6月比でみると、
7~9月は146万バレル増、10月は194万バレルと、
200万バレル近く増加したことになる。

IEAは先月のオイルマーケットレポートで、
世界の原油需給の緩みは、
サウジアラビア、ロシア、米国の原油増産によるものと述べている。

サウジアラビアの増産は、
カショギ紙殺害事件に絡むトランプ政権からの政治的な圧力によるものだろう。

米トランプ政権は5月にイラン核合意からの離脱を発表し、
8月には自動車などに関する第1弾の制裁、
中間選挙直前の11月5日にはイラン原油取引に関する第2弾の制裁を発動した。

ただ、トランプ大統領はイラン原油の生産減少で原油需給が逼迫し、
米国内のガソリン価格が高騰するのをおそれ、
サウジアラビアに原油増産を要請したうえで、
日本や中国など8か国については
180日間イラン原油禁輸の適用除外とすることも決めた。

イランの原油生産は、
確かに4~6月のピーク水準である384万バレルから9月には344万バレル、
10月334万バレルと減少しているが、
足もとの減少ペースはやや緩やかなもにになりつつある。

イランの原油輸出国のうち「適用除外」となった
8か国向けの輸出は全体の約8割を占めているため、
「適用除外」が続く今後半年間はイランの原油生産はさほど減少しないだろう。

イランの原油生産が減少し、
世界の原油需給が逼迫するはずだったが、
結局、「適用除外」によりイランの原油生産は減らず、
一方で、サウジアラビアなどの増産が需給を緩和させてしまった。

ロシアがなぜ同様に増産しているのかは明らかでないが、
サウジの増産への対抗措置かもしれないし、
あるいは国内財政の問題なのかもしれない。

米国に関して言えば、一時、
シェールオイルの最大の産地であるパーミアン地区での生産効率低下により、
シェールオイルの増産ペースが鈍化していたが、
10月下旬以降、再び増産ペースが高まってきた。

稼動リグカウント数がさほど増加しているわけではないが、
パーミアンを含め各産地で生産効率が再び向上し、
それが生産量を増加させている。

米エネルギー省のデータによれば、
米国の原油生産量は今年6月頃から10月中旬頃にかけて
1,100万バレル程度で伸び悩んでいたが、
11月に入ってからは一気に1,170万バレルに増加した(図1参照)。

●今後半年間の世界の原油需給は
2015~16年に匹敵する大幅供給超過となる見込み

いずれにしても、世界の原油生産国トップ3が
期を一にして増産してしまったことは間違いない。

一方で、世界経済は減速しており、
先進国、新興・途上国ともに原油需要の伸びは緩やかだ。

IEAによれば、17年、18年ともに世界の原油需要の年間増加幅は
130万バレルと緩やかな増加にとどまる。

米国でも原油価格に合わせてガソリン価格も急落したが、
今のところガソリン需要が増えてくる兆しはみられない。

結果的に、世界の原油需給は
2017年時点では50万バレルの需要超過だったが、
18年には供給超過に転換した。

供給超過幅は18年1~3月の10万バレルから、
4~6月60万バレル、7~9月100万バレルと拡大している。

OPEC全体の原油生産量は4~6月3,210万バレル、
7~9月3,260万バレル、10月3,300万バレルにまで増加しているが、
仮に、7~9月時点の3,260万に落ち着いたとしても、
19年前半にかけて供給超過幅はさらに拡大していく見込みだ(図2参照)。

供給超過幅は、
暖房需要の膨らむ10~12月には50万バレルといったん縮小するが、
19年1~3月に180万バレル、
4~6月に140万バレル(19年通年では130万バレルの供給超過)となる。

原油価格が30ドルを割り込む急落となった15~16年当時に匹敵する
供給超過状態になる。

これだけ大幅な供給超過状況になってくると、
需給均衡に向けて協調減産するのは容易なことではないだろう。

半年後に、イランへの経済制裁の適用除外がなくなり、
イランの生産が再び減少し始めたとすると、
イランの生産はどの程度まで減少するのか。

前回2013年の経済制裁時のイランの生産量のボトムは250万バレルだった。

当時と同程度まで生産が減少するとすれば、
現状(330万バレル程度)に比べ80万バレル減少する計算だ。

一方、経済混乱の続くベネズエラの生産は1年前の約200万バレルから
直近では126万バレルと4割程度減少しており、
この減少ペースが続くとすると、
1年後に生産はさらに50万バレル減少する計算だ。

計算上、サウジ、ロシア、米国の生産国トップ3は、
ほぼイランとベネズエラの減産見込み(計130万バレル程度)を織り込んで、
すでに増産してしまっていることになる。

トランプ大統領の反対を押し切って
サウジアラビアなどOPECがよほど大幅な減産を決めない限り、
少なくとも今後半年間の世界の原油需給は大幅な緩和状況が続く。

そして、半年後に、イラン制裁の適用除外がなくなったとしても、
需給は需要超過に転換するわけではなく、「均衡」するにすぎない。

このため原油価格は今後半年程度は軟調な推移を続ける可能性が高い。

ただ、やや先を眺めると、状況は急反転することも予想される。

予想通り、原油価格がさらに下落するとすれば、
原油安を受けて世界の原油需要は盛り上がるだろうし、
一方で増産投資は再び停滞するだろう。

世界の原油需給を調整する役割を担っているサウジアラビアの生産能力は
1,150万バレルと言われ、
現状(1,065万バレル)に比べると余裕は85万バレルにすぎない。

2020年頃に、世界の原油生産能力が実際の世界需要に追い付けず、
価格が急騰する事態になるおそれがあることにも注意が必要だ。

以上

https://www.pro-fx.info/ef/pic181203-fu.gif

※この記事は新イーグルフライから抜粋したものです。

古金 義洋

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