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FXコラム

2019.02.04

FOMCの結果と今後の米国株価動向

著者:古金 義洋


●予想外のハト派姿勢に急転換したFEDの政策姿勢

 

1月29~30日のFOMCは、
FEDがハト派姿勢に急転換するという予想外の結果となった。

FOMC声明および

パウエルFRB議長の会見内容を整理してみよう。

 

声明では、景気の現状について
「経済活動は着実なペースで拡大している」と述べ、
前回12月時点の「力強いペース」からトーンダウンした。

物価については、前回同様
「全般的なインフレ率および食品とエネルギー以外の

項目のインフレ率はいずれも2%付近にとどまっている」としたが、
「市場に基づくインフレ調整指標はここ数か月にに低下した」
と付け加えられ、
物価鎮静化をにおわせる表現となった。

 

政策スタンスについては、
事前予想通り「辛抱強く」という表現が盛り込まれると同時に、
株式市場が嫌っていた「漸進的利上げ」の文言が削除された。

新たな文言は、
「経済活動の持続的拡大、力強い労働市場環境、
および委員会の対称的な2%目標付近でのインフレ率推移が
今後最も可能性の高い結果だと委員会は引き続き判断している」

「世界の経済・金融情勢ならびに落ち着いたインフレ圧力を考慮し、
こうした結果の支援において今後

FF金利誘導目標レンジにどのような調整が適切なのかを判断する上で、
委員会は辛抱強くいられるだろう」
だった。

 

削除された文言は、
「経済見通しへのリスクはおおよそ均衡している」
「金利目標レンジを漸進的にさらに幾分か引き上げることが、
経済活動の持続的拡大、力強い労働市場環境、
およびインフレ率が中期的に委員会の対称的な2%目標付近で
推移することと合致すると判断している」
である。

一方、通常のFOMC声明とは別に、
バランスシート正常化に関する声明も発表された。

 

ここでは
「経済・金融動向を考慮しながら、
バランスシート正常化の完了に向けて詳細を調整する用意がある」
と述べた。

「FF金利の変更が政策スタンスの調整のための主な手段」と述べ、
このバランスシート正常化プログラムの詳細の見直しが、
バランスシートを金融政策の手段に使うことを意味するものではないことを示した。

 

しかし、
「今後、FF金利の引き下げだけで達成しうるよりも
一層緩和的な金融政策が正当化されるような経済状況となれば、
バランスシートの規模と構成内容の変更を含め、
幅広い手段を活用する用意がある」
とも述べた。

金融当局がバランスシート正常化のプロセスを見直そうとしているのは、
基本的には、金融機関などの準備預金に対する需要が
以前に想定された以上に増加しているためだ。

従来の予定通りに準備預金を減らしていけば、
FEDが供給する準備預金より金融機関の準備預金に対する需要が多くなって、
金利が上昇してしまうためだ。

しかし、ここで、あえて、その見直しに言及することは
「量的引き締めの休止」あるいは「量的金融緩和」と
誤解されてもおかしくないことをわかったうえでの、
言及だったと考えられる。

 

パウエル議長は、12月の会見で、
FRBのバランスシートの削減については「自動操縦」としていたが、
今回の「バランスシート正常化に関する声明」は、
株式市場への大サービスになったと言っても過言ではない。

パウエル議長は記者会見で、こうした政策スタンスの変化について、
米国経済についてのポジティブな予想にもかかわらず、
ここ数か月間でいくつかの逆風が強まったことを理由に挙げた。

中国や欧州などの海外景気減速のほか、
BREXIT、貿易協議、政府機関閉鎖など先行き不透明要因が重なり、
経済統計では集計データはなお強いが、
景況感などのサーベイデータが低下したと述べた。

 

そうしたなかでは、不確定要因がより明らかになるまで、
wait-and-see approach(様子見の姿勢)を辛抱強くとるのが、
常識的な考えと述べた。

また、インフレの落ち着きにより、
利上げの必要性も低下したことも理由に挙げた。

インフレ指標は落ちついており、
原油安が今後数か月のヘッドライン物価上昇率を押し下げるだろうと述べた。

さらに、金融市場の不均衡度合いも低下し、
昨年秋頃に高まっていたリスク選好の動きも
過去の正常時レベルに低下したと述べた。

つまり、不透明要因が多いため今は様子見の姿勢をとるべきであり、
また、物価が2%で落ち着いており、
株式市場のリスク選好志向が収まったから、
利上げの必要性も薄れたというのがパウエル議長の見解だ。

 

●景気拡大持続とFEDのハト派姿勢転換により米国株のラリーは続く可能性

一方、1日に発表された1月のISM製造業景況感指数と雇用統計は、
FEDが懸念するような
「中国や欧州などの海外景気減速のほか、BREXIT、貿易協議」
などの不透明要因が依然として存在するにもかかわらず、
米国景気が力強く拡大していることを示す内容になった。

ISM製造業景気指数は12月に54.3と低下したが、
1月は56.6と再び上昇した。

 

うち先行指標の新規受注指数は51.3から58.2に跳ね上がり、
景気拡大・悪化の臨界点である50のライン近辺まで急落した
前月の大幅な落ち込みが一時的であることを示した。

雇用統計では、非農業雇用者数の増勢が続いた。

最近の長期金利低下の恩恵を受けているとみられる建設のほか
小売、教育・ヘルスケア、ビジネス支援、レジャーなどの
サービス業を中心に前月比30.4万人増加した。

失業率は4.0%に上昇したが、これはサンプルが少なく、
振れの大きい、家計調査による「就業者数」が減少したためだ。

 

一般的に、家計調査よりも、
事業所調査による非農業雇用者数の方が信頼性が高いとみられ、
今回の失業率上昇は一時的なものと考えられる。

結局、米国経済は
「中国や欧州などの海外景気減速のほか、BREXIT、貿易協議」
など海外要因に左右されにくい内需が非常に堅調であり、
比較的、海外要因に左右されやすい製造業についても海外要因からの悪影響は
限定的にとどまっているということを示す統計になったと考えられる。

 

米国株価については年初からラリーが続いているが、
(1)景気が力強く拡大していることに加えて
(2)金融当局の姿勢がハト派に転換したこと(実際にはそうではないかも
しれないが少なくともハト派に転換したとみられること)
から、しばらくはこの地合いが続きそうだ。

 

次回3月FOMCでも、政策姿勢は「様子見」が続くとみられる。

 

このため、仮に、当面の不安材料である、
BREXITや米中貿易協議の結果が最悪の結果にならなければ、
米国株価は昨年秋の高値近辺まで上昇する可能性もあるだろう。

ただ、そうなれば、市場のリスク選好姿勢は高まるだろうし、
パウエル議長が会見で「低下している」と述べた
「金融市場の不均衡度合い」も再び高まっていくおそれがある。

 

一方、米国経済の成長率は幾分減速するだろうが、
2%程度とされる潜在成長率を上回る経済成長が続くだろうから、
これは失業率を一段と低下させ、
賃金上昇率や物価上昇率をじりじりと押し上げていくおそれがる。

このため、政策スタンスについては、
年後半には再び利上げ方向に変えていかなければならなくなる
可能性が大きい。

 

現在は、インフレ率が目標通りの2%程度で落ち着いているため
「辛抱強い」スタンスがとれるが、
もしそれが目標の2%を超えていくような状況になれば
「辛抱強い」スタンスはとれなくなる。

そのため、再度の利上げモード転換で株価が再び下落しても、
次回はいわゆるパウエル・プットに期待することはできないだろう。

以上

 

※この記事はイーグルフライから抜粋したものです。

古金 義洋

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