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FXコラム

2019.03.04

米金融政策転換で各市場の動きはどう変わったか?

著者:古金 義洋


●政策転換で実質金利が低下し、
インフレ期待が高まり始めている世界のマーケットは
いわゆる「リスクオン」の相場展開が続いている。

背景に、FED政策スタンスが、昨年末までの
「漸進的利上げ」から「辛抱強い様子見」に変わったことがあるのは間違いない。

2月26日の定例議会証言でも、
パウエルFRB議長は、

①中国や欧州で成長が減速し
それが米国経済にとっても多少の逆風になる点、

②英国のEU離脱問題や通商協議など、
政策に関する幾つかの未解決の問題を巡って、
不確実性が高まっている点、

③最近の労働参加率の上昇が
失業率の低下(ひいては賃金上昇率の加速)を抑えている点、
などをとりあげ、1月のFOMC時に述べた通り、
「辛抱強い様子」を維持する姿勢を強調した。

今後の政策については
「この先、われわれの政策判断は引き続きデータ次第となり、
経済情勢や見通しの展開に伴い、新たな情報を考慮する」と述べ、
利上げを再開するのか、それとも利下げに転ずるのかについて、
予断を持たないことも表明した。

このため、米国の短期金融市場は、
今年のFF金利が現状のまま据え置かれるとみるようになった。

FF金利先物市場における、
来年1月のFF先物金利は昨年11月に
一時2.95%程度まで上昇していたが、
直近(3月1日時点)は2.41%で、
現在の誘導目標(2.375%)とほぼ同水準だ(図1参照)。

債券市場の米10年国債利回りの動きも、これに見合った動きとなった。

同利回りは昨年11月に一時3.2%台に上昇したが、
今年に入ってからは2.6~2.8%と低水準で推移している。

この結果、通常プラスの値であるべきタームプレミアム
(タームプレミアムは投資家がリスクの高い
長期投資に際して要求する利回りの上乗せ分)は、
現在の米10年国債利回りの場合、
マイナス0.6~0.7%(ニューヨーク連銀による推計)と、
ある意味、異常なマイナス値になっている。

タームプレミアムが大幅なマイナスの値になっているのは、

①FRBがバランスシート削減の早期停止、
つまりFRBが保有している債券を
さほど売却しないことを表明したことで、
需給面からの債券投資の安心感が広がった、

②長期債は株価が下落した場合の
リスクヘッジのために保有される場合が多く、
株安のリスクヘッジとして10年国債を買いたいという投資家が多い、

ことが理由として言われている。

名目の10年国債利回りは2.6~2.8%と
低位で安定しているが、昨年11月以降、
大きく低下したのはそのうちの実質金利部分であり、
予想インフレ率部分については年初にかけて低下した後、
足元では上昇している(図2参照)。

両者の動きを詳しくみると、
実質金利部分については、
変動利付債利回りの動きで測ることができるが、
昨年11月に一時1.16%に上昇したあと、
金融政策スタンスの変更を受けて、0.71%(2月26日)に低下した。

これに対して、予想インフレ率部分
(=10年国債利回り-変動利付債利回り、
ブレークイーブンレートとも言われる)は、
昨年10月の2.17%をピークに株価下落につれて
年初に1.68%まで低下したが、
その後は上向きで推移し、1.96%(3月1日)まで反転上昇している。

実質金利の低下は、
昨年11月頃にかけて引き締まった金融が、緩み始めていることを示す。

一方、金融緩和が徐々にインフレ期待を高めつつあるようだ。

●上昇していたドルが軟化し、
新興国株や商品市況の反発を招いている

為替市場の動きはどうなったか。

ドル相場は、トランプ政権の減税・保護主義政策と
利上げ観測により2018年以降、
上昇傾向を維持していたが、
やはり昨年11月頃をピークに下落に転じた。

FRBの名目実効ドル相場指数は、
昨年4月の105.6から11月に115.3と上昇したが、
直近(2月22日時点)では112台に低下した(図3参照)。

追加利上げ観測が消え、
市場金利が低下したことが、
ドル高の転機になったようだ。

株式市場では、
先進国市場は言うまでもなく、
新興国市場の株価も反発している(図4参照)。

新興国市場の株価は18年以降の米金利高、
ドル高を反映して、18年1月をピークに急落していた。

MCSI新興国株価指数は
18年1月高値から同年10月にかけ29%下落した。

しかし、その後は直近(3月1日)まで約13%上昇している。

世界経済の減速懸念が根強いことは
新興国株にとってもマイナス要因になるはずだが、
そうしたなかでも株価が反発したことは、
米金利低下とドル安が影響していることは間違いない。

米金利低下とドル安により、
同様に、商品市況も昨年末を底に反発している。

CRB先物指数は昨年12月の安値168から
直近(3月1日)は181と7%程度上昇している。

そして、こうした商品市況の上昇が、
債券市場のインフレ期待(予想インフレ率)を高める役割を果たしたと考えられる。

以上のように、
1月のFOMCでの金融政策転換を機に、
米国では実質金利が低下し、
金融が緩むと同時に、
商品市況の反発もあって、低下していたインフレ期待が高まりつつある。

為替市場では上昇していたドル相場が軟化し、
株式市場では先進国株はもとより、
米金利低下とドル安で新興国市場の株価も反発している。

1月からの「辛抱強く様子見」の金融政策が
今後も変わらなければ、
こうした相場展開も変わらないのではないかと思われる。

米国の株価は昨年9月の高値に接近しており、
高値警戒感が強まっているが、
米金利低下を受けたドル相場の軟化傾向は続きそうであり、
これが新興国株や商品市況を一段と押し上げる可能性がある。

もちろん、そうした状況が続けば、
インフレ期待が徐々に高まっていくだろうし、
一方で投資家は再び過大なリスクを選好するようになっていくだろう。

早ければ4~6月、
遅くとも年後半のどこかで、
FRBも現在の「辛抱強い様子見」の姿勢を
見直さなければいけなくなる可能性があるのではないか。

以上

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古金 義洋

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