元チーフディーラー集団(柾木 利彦、西原 宏一、伊藤 寿彦、竹内 のりひろ)+各分野一流の執筆陣の相場記事

×

メディア

無料メルマガ

無料講座

おすすめ商品

おすすめ会社

FXプライムbyGMO

スパンモデル標準搭載

FXコラム

2019.08.05

米利下げでどの程度円高が進むか?

著者:古金 義洋


●9月以降の利下げ幅は主として米国景気の動きによって変わってくる

今週のFOMCでの0.25%利下げは既定路線だが、
その先どうなるかは主として米国景気の動きがどうなるかによって変わってくる
(ここでは物価の動きは考えないこととする)。

以下では3つのケースに分けて考えてみたい。

<シナリオ1>
米国景気は足元では足踏み状態だが、9月にかけての予防的利下げによって、
再び巡航速度(潜在成長率の1.9%程度)ないしは
それを若干上回るペースでの成長軌道に戻る。

利下げについては、今回の0.25%利下げに加えて、
次回9月のFOMCでもう一度0.25%の予防的利下げが実施されるが、
景気の持ち直しにより、そこで打ち止めとなる。

<シナリオ2>
米国景気はしばらくは足踏み状態が続き、このために、利下げも継続される。

FF金利先物市場は、年内2~3回、
来年末までに計4回(1%)の利下げが見込んでいるが、
こうした先物市場の読みは、米国景気の足踏み状態が
来年いっぱい続く可能性を見込んでいるのではないかと思われる。

<シナリオ3>
米国景気は利下げにもかかわらず、後退局面に陥る。

この場合、FF金利は遅かれ早かれ
再びゼロ(誘導水準としては0.0%~0.25%)程度に引き下げられることになるだろう。

利下げ幅は現在の2.25~2.5%から考えて2.25%となり、
仮に0.25%幅での利下げが行われるとすれば9回の利下げが実施されることとなる。

●米10年債利回りはFF先物市場の読み通りなら1.7%程度に、リセッションなら1%程度に低下も

では、シナリオ1、2、3のそれぞれで、
FF金利の動きとの相関が高い米10年国債利回りの動きがどうなるか、
また、米10年国債利回りの動きとの相関が高い円ドル相場の動きが
どうなるかを整理してみよう。

FF金利、米成長率と米10年国債利回りの関係を最小2乗法で計算すると、
米10年国債利回り=1.19+0.40×FF金利+0.12×GDP前期比年率+0.84×コアCPI前年比
という関係になる。

すなわち、FF金利の1%引き下げで米10年国債利回りは0.4%ポイント低下することになり、
また、GDP成長率の1%ポイント低下で10年国債利回りは0.12%ポイント低下する計算だ。

シナリオ1のように、0.5%程度の予防的利下げで、
米国経済が現在の2%程度の成長から巡航速度を
幾分上回るペースの成長(2.5%程度と仮定する)に戻るのであれば、
米10年国債利回りは、FF金利の低下により0.2%ポイント(=0.4×0.5%)低下し、
成長率の加速により0.1%ポイント弱(=0.12×0.5%)上昇するため、
差し引き米10年国債利回りの低下幅は0.1%ポイントになる。

この際、米10年国債利回りが2%を大きく割り込むことはないだろう。

一方、シナリオ2のように、利下げ幅が1%となり、
米国経済が現在の2%程度の成長が続くとすれば、
米10年国債利回りは、FF金利の低下により0.4%ポイント(=0.4×0.5%)低下する。

成長率は変わらないため、結局、米10年国債利回りの低下幅は0.4%ポイントで、
最終的に米10年国債利回りは、現在の2.1%程度から1.7%程度に低下する可能性がある。

他方、シナリオ3の通り、米景気がリセッション入りし、
これに伴って2.25%の利下げが実施されるとすれば、
米10年国債利回りは、FF金利の低下により0.9%ポイント(=0.4×2.25%)低下し、
さらに、リセッション突入による成長率低下(ゼロ成長を仮定)により
0.2%ポイント強(=0.12×2%)低下するため、合わせて、
米10年国債利回りの低下幅は1.1%ポイントになる。

この場合、米10年国債利回りは、
現在の2.1%程度から1.0%程度に低下するという計算になる。

米10年国債利回りの既往最低水準は16年7月につけた1.35%だが、
仮に、リセッションになるとすれば、場合によってはこのレベルを下回ることも考えられる。

●ドル円はFF先物市場の読み通りなら100円近辺まで、リセッションなら90円に

次に、それぞれのシナリオでドル円相場がどう動くのか。

ドル円相場は日米10年国債利回り格差との相関が強く、
両者の関係を最小2乗法で計算すると、
ドル円相場=66.2+16.5×日米10年国債利回り格差
という関係になる。

つまり、日米10年国債利回りが1%ポイント縮小すると、
ドル円相場は16.5円円高になるという関係だ。

日本の10年国債利回りは現在マイナス0.2%~マイナス0.1%で推移しており、
今後、米国が利下げを継続したとしても、その動きに合わせて低下する可能性は低い。

このため、ここでは日本の10年国債利回りが横ばいと仮定し、
日米10年国債利回り格差は米国の動きだけに左右されると考えることにする。

シナリオ1では、米10年国債利回りの低下は0.1%どまりであるため、
ドル円相場の動きも限定的になる。

シナリオ2では、米10年国債利回りの低下は0.4%であり、
ドル円相場は7円程度円高に振れる可能性がある。

現在108円程度の相場は場合によっては100円近辺まで円高になるが、
100円割れを見込むほどではない。

しかし、シナリオ3では、米10年国債利回りの低下は1.1%であり、
ドル円相場は18円程度円高に振れる。

ドル円相場は90円程度までの円高を見込む必要がある。

●ドル円の100円割れは濃厚

最後に、シナリオ1、2、3について、
それぞれどの程度の可能性があるかを考えて、
米10年国債利回りとドル円相場の期待値を考えてみよう。

期を追ってシナリオ3の「リセッション・シナリオ」の確率が
高まってきているようにも思われるが、
シナリオ1が30%、シャナリオ2が40%、シナリオ3が30%といったところが
順当な見方ではないかと思える。

結果として、米10年国債利回りの期待値は1.6%、
ドル円相場の期待値は99円と計算される。

景気動向とは別に、ここで考慮しなかった物価が上振れるようなことがあれば
、確かに利下げは抑制せざるをえず、
そのために10年債利回りが上向き、ドル円も短期的に円安に振れることがあるかもしれない。

しかし、景気が足踏みする状況で、もし物価が上向いて、金利低下に歯止めがかかれば、
そのために、景気がリセッションに陥る可能性が高まるというのも確かだ。

1年以上の長期でみた場合のドル円相場の方向性は円高であり、
水準としてみた場合、100円割れは濃厚と考えられる。

以上

 

https://www.fpnet-ec.com/assets/common/img/member/bbs/11/a0656051635977c53dd9522d6993fb24-1.png

古金 義洋

>> 著者ページはこちら

新着情報

メディア情報

無料メルマガ

無料講座

おすすめ商品

FXプライムbyGMO FXプライムbyGMO

おすすめ会社

スパンモデル標準搭載

トップに戻る