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FXコラム

2019.11.05

消費税導入で消費・景気はどうなったのか?

著者:古金 義洋


●10月の乗用車販売は予想外の大幅な落ち込みに

消費税率が引き上げられてから1か月経過した。

税率引き上げによって消費や景気がどうなったかが、
発表された景気指標によって少しずつ明らかになってきた。

今回の場合、事前の大方の予想は次のようなものだったと思われる。

① 住宅や自動車などの高額の買い物では、住宅ローン減税や自動車税減税などの平準化策により目立った駆け込み需要はなく、
前回2014年時の消費税率引き上げの時のように、駆け込みの反動によって景気が停滞することもない。

② また、食料品などに軽減税率が適用され、ポイント還元などの対策も打ち出されていることから、消費税率引き上げが消費や景気に及ぼす影響は限定的なものになる。

実際はどうだったのか。

確かに、住宅や自動車などの場合では、目立った駆け込みはなかった。

2014年4月の前回増税時においては住宅着工件数は消費税率引き上げの半年~3か月前にかけ急増し、
13年9月に前年比19.4%増、同年12月に同18.0%増とピーク時には前年比2割近い増加となった。

そのために、増税後の14年4月から15年1月にかけて、
着工件数は前年比10~15%減という大幅なマイナスが続いた。

今回は駆け込みというより、貸家建設ブームで18年度末にかけて住宅着工件数は増勢をたどり、
2019年3月に前年比10.0%増と増加したが、同年4月以降はほぼ前年割れの状況が続いた。

駆け込み的な動きは全くみられなかった。

一方、新車販売(軽自動車を除く)については、前回2014年時には、
税率引き上げ7か月前の13年9月から14年3月にかけて前年比2桁増の駆け込み販売増加が続き、
税率引き上げ直前の14年3月も前年比14.5%増と増加していた。

この反動により、税率引き上げ後の14年4月には前年比11.4%減と落ち込んだ。

ただ、同年7月にかけてマイナス幅は縮小していった。

今回は19年7月前年比6.7%増、8月4.0%増、9月12.8%増と増加した。

直前の9月こそ2桁増になったが、前回と比べると明らかに駆け込み販売増の動きは小さかった。

このため、反動による落ち込みも小さいとみられたが、
11月1日に発表された10月の新車販売は前年比26.4%減と、前回14年4月の落ち込み(11.4%減)を上回る大幅減少になった。

自動車の場合、駆け込みの動きが小さかったにもかかわらず、
増税後の落ち込みが大きかったというのは、想定外のことだ。

消費者のマインドの基調の弱さを示すものだと言えるかもしれない。

図1は街角景気の動きを示す景気ウォッチャー調査の現状判断DIと新車販売台数(季節調整値)の動きを合わせてみたものだが、
両者はかなり連動しており、新車販売の動きが景気全体の動きを左右するものであることがわかる。

●百貨店販売などでは予想外の駆け込み需要があり、今後数か月は反動減の可能性

また、百貨店売上高などの小売販売の動きをみると、前回とほぼ同様の駆け込みがみられた。

これも想定外のことだ。

全国百貨店売上高の動きをみると、
前回増税時は明らかな売り上げ急増があったのが直前の1か月だけで14年3月に前年比25.4%増加した。

高額品(美術・宝飾・貴金属)、化粧品などの雑貨が前年比67.2%増、
身のまわり品が38.6%増、家具・家電など家庭用品39.1%増と増加した。

翌4月は反動で駆け込みの反動で12.0%減と落ち込んだが、
同年8月にはほぼ前年並みに戻った。

今回も税率引き上げ前の2019年9月に同23.1%増と、前回同様、
1か月だけだが2割超の増加となった。

前回同様に、高額品などの雑貨が51.2%増、身のまわり品が32.6%増、
家具・家電など家庭用品が39.1%増と増加した。

乗用車販売や百貨店店売上などを含むモノの消費全体(住宅は含まない)でも、
直前1か月の駆け込みは前回同様にあった。

経済産業省が発表する小売業販売額をみると、前回増税時には14年1月前年比4.4%増、
2月3.6%増、3月11.0%増と直前1か月はかなりの駆け込みがあった。

そのために、同年4月4.3%減、5月0.4%減、6月0.6%減と販売額は前年割れの状況が続き、
ようやくプラス域に浮上したのは翌15年1月(0.6%増)だった。

今回も、19年7月前年比2.0%減、8月同1.8%増、
9月9.1%増と前回ほどではないにしても直前1か月だけの数字をみると明らかに駆け込みがあったことがわかる。

前回の例から言えば、10月はもちろん、12月頃までは前年割れの状況が続く可能性がある。

以上のような想定外の動きは、少なくとも10月以降の消費や景気の動きをみるうえで、
マイナス材料であると言わざるをえない。

●ITサイクルや物流センター等の設備投資は新たな景気の牽引役になるのか?

日銀の黒田総裁は31日の金融政策決定会合後の記者会見で、
消費増税後の個人消費の動向について聞かれ、
「10月以降の反動がどの程度かというデータは十分ではないが、
日次や週次の小売データを見ても前回のような落ち込みはみられていない、
消費増税の影響は14年よりも小さいということは確かだと思う」と述べたが、
乗用車販売の動きをみると、こうした認識がやや楽観的だということがわかる。

また、経済に対する強気の見方の根拠として、
① 「ITサイクルはアジアの動きをみると底打ちしつつある感じでそれは明るい材料だ」

② 「景気の短期的な変動に左右されにくい根強い投資需要もうかがえる。
物流センターの投資や省力化投資、技術革新に向けた投資という意味で外需の動きに左右されにくい投資が進んでいる」

といった点を挙げているが、これらもあまり説得的とは言えない。

図2は、日本の半導体等電子部品の輸出金額と電子部品デバイス産業の生産指数の動きをみたもの。

確かに、半導体等の輸出は19年初めにかけて減少した後、
19年9月までのデータを見る限りでは増加しているが、半導体等の輸出は例年秋~年末頃にかけて季節的に増加する。

2012年以降の短期循環をみると、12年8月、13年8月、14年12月、
15年9月、16年12月、17年12月、18年10月がピークだった。

電子部品デバイス工業では在庫調整が一巡し、
需要が上向けば生産も上向くはずの局面に入ってきているが、
輸出の増加にもかかわらず、生産の回復は遅れているようにみえる。

メーカーは需要の先行きに対して、さほど楽観的にみているわけではないことがわかる。

図3は、黒田総裁の指摘するような、物流センターなどの建設投資が増えているかどうかをみるために、
建設関連の設備投資の先行指標をみたものだ。

「非居住用建築物着工工事費予定額」「民間建設工事受注」のどちらの指標でみても、
月によって振れはあるが、高水準ながら頭打ちになっている様子がうかがえる。

日銀の景気判断は楽観的過ぎるといわざるを得ず、
この先、修正を余儀なくされる可能性があるだろう。

 

以上

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古金 義洋

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