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FXコラム

2019.12.03

当面の注目イベント

著者:古金 義洋


●消費税率引き上げ後の景気の落ち込みは予想以上の大きさ
 
10月の鉱工業生産は前月比4.2%減と減少し、事前の予想(ブルームバーグの集計によれば
前月比2.0%減)に比べても大幅な落ち込みになった。

輸出が低迷しているうえに、内需についても、消費税率引き上げ前の駆け込みの反動、
台風の影響などもあって落ち込み、減少幅は想定外に大きくなったとされる。

内外需両方の不調により、日本経済はまさに牽引役不在の状況になっている。

輸出数量指数、鉱工業生産指数、景気動向指数CI一致指数の動きをみると(図1参照)、
輸出数量指数(内閣府による季節調整済み)は直近10月にやや上向いたが、
鉱工業生産指数は9月にやや上向いたあと、10月は大幅に下落している。

これは10月の生産の減少が輸出より内需の落ち込みによるものであったことを示している。

生産の予想外の落ち込みは台風の影響など一過性の要因が大きいという見方もある。

仮にそうなら、11月以降、生産活動は上向くはずだが、そうなっていない。

主要製品の生産計画を集計した、「製造工業生産予測指数」をみると、
11月が前月比1.5%減、12月が同1.1%増となっており、この数字を見る限り、
10月の生産の落ち込みは台風の影響ではなく、当面、生産活動が盛り上がる様子はない。

この予想数値通りなら、10~12月を均した鉱工業生産は前期(7~9月)に比べ
4.1%減少する計算となる。

しかも、実際には同予測指数は下方修正されることが多い。

過去半年の同予測指数の下方修正の傾向(翌月の予想は約2.2%下方修正され、
翌々月の予想は約2.7%下方修正される)を参考に調整すると、
10~12月の鉱工業生産は前期比5.6%減少する計算になる。

そうなった場合、過去の鉱工業生産とGDPの関係(最小二乗法で計算すると、
成長率の前期比=+0.22+0.24×鉱工業生産の前期比、となる)から言えば、
10~12月のGDPは前期比1.1%程度のマイナス成長となる計算だ。

ちなみに、前回14年の消費税率引き上げ後(14年4~6月)の鉱工業生産は
前期比2.9%減、GDPは0.9%のマイナス成長だった。

前回の消費税率引き上げ後の落ち込みより今回の方がひどくなる可能性が高い。

鉱工業生産指数との連動性が高く、景気の動きを端的に示す
景気動向指数CI一致指数の動きをみると、9月はCI一致指数に採用されている
小売販売や卸売販売が駆け込みの影響で増加したため、大きく上向いた。

しかし、12月6日に発表される10月分の数値が大きく落ち込むことは確実で、
鉱工業生産指数の動きに沿って、少なくとも年内は低迷する可能性が高い。

駆け込みの動きが比較的小さかった分、消費税率引き上げ後の落ち込みは
小さくなるはずだと言われていたが、そうならないだろう。
 

●ITサイクルの底打ちは5Gによるものなのか、それともiPhoneによるものなのか?
 
株式市場ではITサイクルの底打ちを材料に電子部品メーカーの株価が
大きく値上がりしているが、実際の電子部品メーカーの生産活動は冴えないままだ。

図2は、日本の半導体等電子部品の輸出金額と電子部品・デバイス工業の生産指数を示したものだ。

確かに、日本の半導体等電子部品の輸出は足元で増加しており、
世界的に電子部品の需要が盛り上がっている様子を表している。

ただ、毎年9月のiPhoneの発売時期に連動して、
の輸出は例年秋~年末頃にかけて季節的に増加するというのも事実だ。

過去7年については、12年8月、13年8月、14年12月、
15年9月、16年12月、17年12月、18年10月がピークだった。

電子部品デバイス工業の生産指数は19年4月の最悪期に比べ幾分回復しているが、
18年7月の直近ピーク水準に比べ1割程度低い水準で低迷したままだ。

株式市場は、5Gなどの大きな潮流でITサイクルが上向いていると思いたいのだろうが、
現場の電子部品メーカーはさほど楽観していないのだろう。

現場のメーカーは、電子部品輸出の増加がiPhone発売による
いつもの短期的な循環によるものだと思っているのかもしれない。

 
●企業は売上減少につれ人件費なども削減方向へ
 
7~9月の法人企業統計によれば、全規模・全産業(金融を除く)の売上高は
前年比2.6%減と減少に転じた。

季節調整済み前期比でみると、1.5%減と3四半期連続で減少し、
1~3月0.5%減、4~6月0.6%減から減少ペースが加速した。

消費税率引き上げ前の駆け込みなどから売上が増えてもおかしくなかったが、
そうならなかった。
しかも、売上が大幅に減少したのは、米中摩擦の影響を直接受けている製造業(前年比1.5%減)ではなく、
非製造業(同3.1%減)の方で、建設業(同8.6%減)、卸売・小売業(4.0%減)などの減少が目立った。

非製造業の売上減少に示される内需の低迷は、
消費税率引き上げ前からすでに始まっていた可能性がある。

売上高が3四半期連続で減少したのは、2016年以来のこと。

この時は、2015年7~9月から16年1~3月にかけて3四半期連続で減少したあと、
同年4~6月には景気刺激策による中国景気回復と原油価格反発による米国景気回復で、
日本企業の業績も回復した。

今回はそうした神風は吹かず、逆に、日本で消費税率引き上げが実施された。

一方、7~9月の企業の経常利益は前年比5.3%減少した。

このところ特殊要因などで振れが大きかった(図3参照)が、
19年4~6月の前年比12.0%減のあと7~9月は5.3%減と2四半期連続の減少ながら減少幅は縮小した。

季節調整済み前期比でみても、4~6月の6.3%減のあと7~9月は1.1%減と
減少ペースは緩やかになった。

売上の減少ペースが加速していることからみると、
利益の減少ペースが緩やかになったことはやや意外感もあるが、
これは企業が人件費や原材料費など、コストを抑制し始めているためだ。

法人企業統計によれば、7~9月は原材料費などの売上原価(変動費に相当する)が
前年比2.7%減と売上同様と減少に転じ、売上原価の減少幅は売上の減少幅をわずかながら上回った。

また、固定費のうち8割以上を占める人件費は前年比1.8%減と2四半期連続の減少となった。

設備投資については、省力化投資などの必要性からか、
7~9月も前年比7.1%増と高い伸びが続いているようにみえなくないが、
季節調整済み前期比では0.8%減と減少に転じた。

売上が減少するなかにあっては、企業としては、人件費などの費用同様、
設備投資などにもお金を振り向けることは難しい。

企業の人件費削減の動きがこのまま続けば、人件費(=雇用者所得)の削減が
個人消費の減少につながる。

そして、それが企業の売上を一段と減少させ、企業は人件費(雇用者所得)の
さらなる削減を迫られる可能性がある。

そうなった場合、日本経済はまさに悪循環に入ることを意味する。

売上減少は10~12月も続いているとみられ、
現状の日本経済はそうした悪循環の一歩手前の状況にみえる。
 

以上

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古金 義洋

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