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FXコラム

2020.01.07

中東情勢悪化でどうなるか?

著者:古金 義洋


●もしどこかで原油生産が停止に追い込まれるようなことがあれば原油価格は急騰へ
 
大発会の株価は日経平均株価が451円安となるスタートになった。

原因は言うまでもなく中東情勢の悪化だ。

1月3日にトランプ米大統領の指示を受けた米軍によるイラクでの空爆で、イランの精鋭部隊、革命防衛隊のソレイマニ司令官が殺害された。

米・イランの対立がエスカレートし、
中東地域全般が不安定化して世界的な原油供給に悪影響が及ぶのではないかとの懸念が高まった。

トランプ大統領が唐突な空爆を決めた理由の1つは、
11月の大統領選への対策だったとも言われている。

同日、トランプ大統領はフロリダ州マイアミにおいて、
米国の人口の4分の1を占めるとされる「キリスト教福音派」の支持者に向けて演説し、
ここでソレイマニ氏殺害の成果を強調した。

トランプ大統領は就任以降、人工妊娠中絶の支援団体への補助金廃止やイスラエルにある米大使館のエルサレム移転など、
福音派の期待に応える政策を打ち出してきた。

しかし、米国のキリスト教福音派の有力誌「クリスチャニティー・トゥデー」のマーク・ガリ編集長が、
昨年12月19日に「大統領が政治的権力を利用して外国の指導者を威圧しようとしたことは
米国の信頼への裏切り」で「根本的にトランプ氏が大統領職にふさわしくない」と論評していた。

支持基盤の一部が離反している可能性が指摘され、
トランプ大統領としては支持のつなぎ止めを図りたいねらいがあったとみられる。

これが事実だとすれば、こうしたトランプ大統領の場当たり的な政策遂行には、あきれるしかない。

すでに、米・イラン対立の余波は中東各国に広がり始めている。

ソレイマニ司令官殺害の空爆がイラクで行われ、
イラン側が中東域内の米軍兵士や基地への報復を宣言していることから、
イラクでは、5日にイラク議会が、駐留米軍の撤退を求める決議案を可決し、
イラクのアブドルマハディ首相も「イラクと米国の間では信頼感が揺らいでいる」
「イラク政府の許可なしに国内で外国軍が行動を起こすことはあってはならない」と述べた。

イラクにおける駐留米軍撤退を求める動きに対し、トランプ大統領は
「イラクが基地建設費用を補償せず米軍を撤退させるならイラクに対し制裁する」と反撃している。

昨年9月にはサウジアラビアの原油生産施設が攻撃され、
世界の原油生産の約5%に相当する日量570万バレルが短期間だが停止に追い込まれた。

これで、原油WTI価格は55ドルから63ドルへと約15%上昇した。

基本的に、原油は、冬場の白菜などと同じように、需給の動きに極めて敏感に反応する商品である。

白菜は鍋に欠かせないため、仮に、天候異変などで生産が減り、
値段が上昇しても、消費者は白菜を買う必要がある。

石油も寒ければ灯油が必要で、移動のための車のガソリンも欠かせないため、
石油価格が多少上昇しても石油消費が減るわけではない。

このため過去のデータを用いた推計結果によれば、
短期的に原油需要を1%減らすためには原油価格はその20倍分の20%値上がりする必要がある。
つまり、何らかの要因で原油生産が1%減少する場合、
それに見合って原油需要は1%減少しなければいけなくなり、
結果的に、原油生産が1%減少すれば原油価格は20%上昇する可能性がある。

もし、昨年9月のサウジの生産停止がより長期に及んでいたとすれば、
世界の原油生産の5%減少は原油価格を100%押し上げていた可能性もあったことになる。

今回は今のところ実際の原油生産に影響が及んでいないため、
今回の一連の事件の前後で原油価格にさほど大きな変化はない
(WTI価格は1月2日の61.2ドルから3日に63.1ドルと約3%上昇しただけ)。

だが、経済制裁により原油生産がすでに大幅に減少している
イラン(12月時点の原油生産量は210万バレルで世界の原油生産の約2%)に限らず、
サウジアラビア(同980万バレルで世界の原油生産の約10%)、
イラク(同470万バレルで約5%)、クウェート(同270万バレルで約3%)、
UAE(同300万バレルで約3%)などにおいて、
実際に原油生産が停止に追い込まれるような事態が生じた場合、
ちょっとした事故でも原油価格は大幅に値上がりするだろう。

世界景気減速により実需としての原油需要は盛り上がっていない状況で、
平時なら需給緩和を背景に原油価格は軟調に推移していたもおかしくなかった。

原油生産が停止に追い込まれるようなことが実際には起きなかったとしても、
しばらくは投機的な需要により原油価格は本来あるべき価格より高めになることは間違いない。
 

●米国の石油中東依存度は低下しているが、有事なら米国経済も悪化へ
 
では、原油高は世界経済にどのような影響を及ぼすか。

通常、原油高はガソリン、灯油など原油製品などの物価を押し上げることでインフレ的に作用すると同時に、
原油を輸入する多くの先進国では余分な原油輸入代金が増えて所得が海外に流出するため景気に悪影響を及ぼす。

すなわち、景気を悪化させると同時にインフレを加速させる。

日本、ユーロ圏各国、中国を含めたアジア各国では、
こうしたスタグフレーション的な影響が強まることは間違いない。

米・イラン間の問題が早期に払拭されることでもなければ、
今回の問題は、日本やユーロ圏諸国への景気悪化を決定的なものにするだろうし、
上向きかけている中国の景気の頭を押さえることになりそうだ。

一方、米国の場合、前者のインフレ的な影響はあるが、
シェールオイルの生産増加により米国の石油輸出入はほぼバランスしているため、
原油高でも全体として米国内から所得が海外に流出することはない。

中東原油に依存する必要がなくなったことで、
トランプ政権が中東を軽視するような政策をとり始めているのは、こうしたことが背景にある。

ただ、原油高による所得流出がなくなったとしても、前者のインフレ効果がなくなることはない。

物価安定を背景とする金融緩和政策と低金利が株価を支えている米国において、
物価安定の前提が崩れた場合、債券・株式市場のバブルは一気に崩壊する可能性がある。

また、米国内での所得分配面では、原油高で石油関連産業などの利益が増加する半面、
ガソリン代支払いなど消費者の負担が増えることになる。

現状、米国景気は消費主導で拡大していることを考えると、米国経済に影響がないわけではない。

3日に発表された12月の米ISM製造業景気指数は前月の48.1から49程度に上向く
との事前予想に反して、47.2に低下した。

米国経済は労働市場の力強さなどを背景に堅調に推移しており、
また、米中貿易協議がまとまれば製造業景気も上向くとみられていたが、
米国経済に対する楽観的な見方は修正されていくのではないか。

 

以上

古金 義洋

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