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FXコラム

2020.04.06

V字回復を困難にする米国の失業急増

著者:古金 義洋


中国では1月末以降、武漢などの都市を完全封鎖し、国家主導で「集まらない」「外出しない」
といった施策を徹底したことで、3月下旬以降、少なくとも公式な統計によれば、
新たな感染者はほとんどいなくなった。

中国ほどの徹底したことはできなくとも、欧米でも3月以降続けられている都市封鎖が
あと数か月続けられれば、新たな感染者はいなくなるという期待はできる。

実際、最悪の状態を続けているイタリアでも、新たな感染者の数はなお高水準ながらも
その増加に歯止めがかかりつつある。

新たな感染者がいなくなれば、人々は日常生活を取り戻すことができるだろう。

そうなれば、景気はV字に回復するというのが株式市場の見立てなのかもしれない。

しかし、新たな感染者がいなくなり、人々が日常生活を取り戻すことができたとしても、
その時点での日常は、コロナショック前までの日常とは程遠いものになっているはずだ。

仮に、米国において、今年年央頃のどこかで、新たな感染者がゼロになったことを想像してみよう。

日常生活ができるようになったとはいえ、その頃の米国の経済環境は2月までの環境ではない。

失業率は2月時点の3.5%から大きく跳ね上がり、10%を超える状態になっている可能性が高い。

週間新規失業保険申請件数は3月21日の週に328万件、同28日の週に665万件と急増した。

今年年初から3月14日までの週の平均は21.8万件だったが、桁違いの急増になった。

3月21日の週には申請者の急増によりウェブサイトがパンクし、
実際に申請できなかった人も多かったと言われる。

2週間で失業保険を申請した人が計993万人いるということは
2週間で失業した人が993万人いるということを意味する。

米国の労働力人口は1億6,291万人(3月時点)であるため、
993万人の失業者の増加は失業率を6%(≒993万人÷1億6,291万人)ポイント程度押し上げる計算になる。

4月3日に発表された雇用統計では3月の失業率は4.4%(2月は3.5%)だったが、
同統計は3月中旬頃までのデータしか反映されていないとされる。

3月14日時点の失業率は3.5~4.4%と考えられるが、その後の2週間での993万人が失業し、
失業率が2週間で6%ポイント程度上昇していると考えると、
3月28日時点での「リアルタイム」の失業率はすでに10%程度まで上昇していることになる。

さらに4月に入ってからも1週間で失業率が3%ポイント程度上昇するような、
失業者の急増が続くようなら、すぐに戦後最高水準であった1982年12月の10.8%を超えるだろう。

1930年代大恐慌時に記録したとされる23%程度に近づくことも考えられる。

セントルイス地区連銀のブラード総裁は「米失業率は最悪の場合30%」に上昇するのではないかと述べている。

失業保険申請件数がこれほど急増しているのは、言うまでもなく、都市封鎖などの措置により、
工場の操業停止や店舗の閉鎖で企業によるレイオフが急増しているためだ。

ただ、その一方で、雇用環境の急激な悪化に対応して、
政府が大盤振る舞いの失業保険給付策を実施したことも、失業を増加させる要因になった。

寛容な失業保険給付策によって、労働者にとっては勤労意欲が薄れる面、
経営者にとってはある程度思い切ってレイオフを実施できるという面がある。

失業給付の期間は通常の26週(約6か月)から39週(約9か月)に延長され、
週当たりの給付金額は最初の4週間に限り600ドル加算された。

給付対象者はインターネットを通じて単発の仕事を請け負う独立の請負業者
(いわゆるギグ・ワーカー)やパートタイム労働者などにも拡大された。

従来得ていた収入よりも失業保険の金額の方が多くなる事例もあると言われる。

失業者が増加しやすい環境ができている。

 
●前回のリーマンショック時は雇用環境が元に戻るには7年半かかった

仮に、今年の半ば、新たな感染者はいなくなり、人々が日常生活を取り戻すことができたとしても、
その時点では、米国の労働者の10人に1人、場合によっては5人に1人の職がない状況になっている可能性がある。

失業保険の給付期間が9か月に延長されたことで、4月から給付を受けている人は
ほとんど年内いっぱい失業給付を受けることができるが、
失職状態の家計が消費を持続的に増やすことは考えにくい。

確かに、4~6月の急激な落ち込みの反動という意味で、
7~9月のGDPがかなりのプラスになることは考えられる。

しかし、それは急激な落ち込みの反動による一時的な高成長にすぎない。
本来の意味でのV字型景気回復のためには、レイオフを増やしていた企業が
年後半以降雇用を急速に活発化させるようになる必要があるし、
失業保険によって勤労意欲を失っているおそれのある労働者が働く気を起こす必要もある。

外出制限が解かれ日常生活が戻っても、多くの家計にとっては
雇用・所得環境が元に戻らない以上、消費を活発化することはできないだろう。

もちろん、消費などの民間需要を補うため、財政・金融両面からの景気刺激策は実施されるはずだが、
それでも、過去そうであったように、雇用・所得環境が元に戻るには相当の時間が必要だ。

ちなみに、前回のリーマンショック不況時には、失業率は2007年5月のボトム水準である
4.4%から2009年10月のピークである10.0%に上昇したが、
その後、失業率が4.4%に戻ったのは17年3月だった。

結局、景気後退によっていったん悪化してしまった雇用環境が元に戻るまでには7年半かかったことになる。

感染が比較的早期に収束し、しかも金融危機などの発生も抑えられる、
といった楽観的な前提の下であっても、年後半以降の米国景気はL字型に近いものになるだろう。

いわんや、レバレッジドローンなどのバブル崩壊に伴う金融危機が発生するとすれば、
景気の一段の悪化は避けられない。
 

以上 

古金 義洋

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