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FXコラム

2017.12.30

国際収支の不均衡が拡大

著者:古金 義洋


●7~9月の日本の経常黒字は対GDP比4.5%と臨界点の「3%」を大きく上回る

日本の経常黒字が拡大している。

日本の経常収支は、金融危機に伴う海外景気悪化(→輸出減少)、
原発停止と原油高に伴う原油輸入金額の増加により、
2014年初めに一時赤字化(2014年1~3月は季節調整値で0.9兆円の赤字)
する場面があった。

しかし、赤字化は一次的で、その後は徐々に黒字幅が拡大し、
直近17年7~9月の経常黒字(季節調整値)は6.1兆円と
07年10~12月以来の高水準となった。

対GDP比でみた経常黒字幅は、いつの間にか、
貿易摩擦が起きる臨界点と言われる「3%」ラインをはるかに超え、
4.5%となっている。

2000年代初め頃までは日本の経常黒字の対GDP比が3%を超えると、
日米の貿易摩擦が激化し、円高になると言われた(図1参照)。


実際、米財務省が半期に一度発表する外国為替報告書では、
①対米貿易黒字が年200億ドル超、
②経常黒字が自国GDPの3%超、
③GDPの2%超規模の海外資産を購入する
といった継続的な一方向の為替介入の実施、
という3つの基準が設けられ、為替操作国の認定が行われる
(うち2つに抵触すると認定された国が、通常、監視対象国に指定される)。

「経常黒字のGDP比3%」が重視しなければならない臨界点
であることは間違いない。

為替相場は時期によって相場の変動要因が変わる。

2000年代以降の円相場は国際収支ではなく、
日米金利差に大きく左右されて動いており、
経常黒字は問題視されなくなっている。

しかし、
①経常黒字の対GDP比が臨界点の3%を大幅に超えていること、
②実質実効レートでみた円相場は歴史的な円安水準にあること、
から言えば、いつ日本の黒字が意識されるようになってもおかしくない。

日本の経常黒字がいずれ円高圧力を高めることは間違いないだろう。

●日本の経常黒字幅は18年に一段と増加する見込み

2014年1~3月(0.9兆円の赤字)から17年7~9月(6.1兆円の黒字)
にかけての7.0兆円の収支改善のうち、最も大きく収支改善に寄与したのは、
モノの取引である貿易収支だ。

貿易収支はこの同じ期間に4.0兆円の赤字から1.6兆円の黒字に転換した
(5.6兆円の黒字拡大寄与)。

サービス収支は外国人観光旅行者の増加などにより同じ期間に、
0.9兆円の赤字から0.3兆円の赤字へと赤字幅が縮小した
(0.6兆円の黒字拡大寄与)。

投資収益収支など所得収支は同じ期間に、
4.6兆円の黒字から5.4兆円の黒字へと黒字幅が拡大した
(0.8兆円の黒字拡大寄与)。

今後の経常黒字はどうなるか。

貿易収支については、通関貿易統計でみると、
11月にかけて黒字拡大傾向が続いており、
なお経常黒字幅の拡大に寄与することが確実だ。

サービス収支については、
外国人旅行者の増加は騒がれているほど国際収支の黒字拡大に
寄与しているわけではないが、
それでも小幅赤字の収支は次第に収支均衡に向かっていくだろう。

投資収益収支については、
日本の対外純資産×資産の利回り=投資収益収支であり、
日本の経常黒字=対外純資産の増加である、ことから
日本の経常収支が黒字である限り、対外純資産は増え続けるだろうし、
資産の利回りが大幅に低下しない限りは、
投資収益収支の黒字も増加し続ける形になる。

原油価格などが急騰して輸入金額が大幅に増加したり、
海外景気が悪化して増加している輸出が失速する、
といったことでもない限り、
経常黒字幅は18年に向けて一段と拡大していくだろう。

●ユーロ圏の経常黒字も拡大基調、米国では石油を除く貿易赤字が過去最大に

これに対して、米国とユーロ圏の国際収支は現在どういう状況か?

ユーロ圏の経常黒字の拡大傾向は続いている(図2参照)。

ユーロ相場は17年に入り反発したもののなお安値圏にあることに加えて、
ユーロ圏ではフランスやイタリアなどまだ完全雇用に達していない国もあり、
圏内に輸出余力があるとみられることが高水準の黒字の原因とみられる。

一方、米国では7~9月の経常赤字が1,006億ドルと、
4~6月の1,244億ドルから、赤字幅が縮小した(図3参照)が、
これは米シェールオイルの生産増加に伴う原油輸入の減少によるものだ。

石油を除く実質貿易収支の赤字幅は直近10月に過去最大水準に拡大した。

ドルが高値圏で推移していることに加えて、
米国内では経済がほぼ完全雇用状態で供給余力がなくなってきていることから、
輸入依存の傾向が強まっていると考えられる。

米国の景気が好調に推移していることから、
こうした国際的な貿易不均衡問題は表面化していないが、
米国景気が少しでも足踏みするような状態になれば、
問題が表面化する可能性が高い。

18年前半中の米国景気は減税の効果でなお好調に推移するだろうが、
年後半は金利上昇もあって景気は息切れする可能性がある。

さらに、11月には中間選挙があり、
貿易黒字国に対する風当たりが強まってくる可能性がある。

為替相場の変動要因が金利差から国際収支に変わり、
それによって円が大幅に上昇するリスクに注意しなければいけないだろう。

 

以上

 

本記事は、新イーグルフライから抜粋したものです。

古金 義洋

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