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FXコラム

2018.03.05

世界各地で散見される景気減速指標

著者:古金 義洋


●米国では景気牽引役として期待されてきた設備投資に減速の兆候

世界経済は順調に拡大していると思われたが、
今、発表されている景気指標をみると必ずしもそうではないようだ。

米国では2月のISM製造業景気指数が60.8と前月の59.1から上昇した。

ミシガン大やコンファレンスボードの消費者信頼感指数も、
2月に上昇し、株価下落は表面上、消費者マインド、
企業マインドに全く影響していないようにみえる。

ただ、ISM景気指数の中身をみると、さほど良くない。
上昇したのは、同指数のうち、

雇用指数(1月54.2→2月59.7)、
入荷遅延指数(同59.1→61.1)、
在庫指数(同52.3→56.7)など、

いわゆる遅行指標ばかり。

先行指標である新規受注指数(12月67.4→1月65.4→2月64.2)、
一致指標である生産指数(12月65.2→1月64.5→2月62.0)は、
ともに昨年12月をピークに2か月連続で低下している。

指数の水準自体は高く景気拡大が続いていることを示すが、
指数の低下は景気拡大ペースの鈍化を示す。

変調はそのほかにもみられる。

米国景気が昨年以降、過熱気味に拡大した最大の要因は、
設備投資が盛り上がり始めたことだ。

GDP統計によれば、
昨年10~12月の設備投資は前年比6.3%増加し、
経済成長(同期のGDP成長率は2.5%)を支えた。

リーマンショック以降、米国の企業は、
キャッシュ重視志向を強め、設備投資に消極的だったが、
ようやく本来のアニマルスピリッツに目覚めたのではないかという見方が強まった。

しかし、そうした見方を疑問視させるのが、
足もとの資本財受注の動きだ。

設備投資の先行指標である非国防資本財(除く航空機)は、
高水準ながら、1月に前月比0.2%減となり、
前月(同0.6%減)に続く2か月連続の減少となった。

3か月前比年率増加率の数値は、
すでにマイナス域に落ち込んでおり、
1~3月以降の設備投資が伸び悩むことを示唆している(図1参照)。


●ドイツや中国の企業景況感は昨年末以降悪化し始めている

景況感が頭打ち気味になっているのは米国だけではない。

2月のユーロ圏景況指数は114.1と前月の114.9から低下し、
2か月連続の低下となった(図2参照)。


2月の指数低下は株価下落が影響しているかもしれないが、
1月の低下は株価と関係ない。

また、独IFO景況感指数は2月に115.4と、
1月の117.6から2.2ポイントの大幅低下となった。

イギリスのEU離脱の影響による2016年8月の低下幅
(108.5→106.5で2.0ポイントの低下)を上回る落ち込みになった。

しかも、同指数のうち、
先行指標の性格を持つ「期待指数」は、
昨年11月をピークに3か月連続で急落している。

独IFO景況感指数は企業の景況感を示すもの。
ドイツの景気はユーロ圏のなかでも絶好調と言われながら、
企業の先行きに対する見方は昨年年末から悪化し始めていたことになる。

一方、中国の企業景況感指数も低下した。

国家統計局発表の製造業PMIは、
1月の51.3から2月は50.3に低下した。

昨年11月以降、3か月連続の低下だ。

2月の低下は春節連休中に、
工場が稼働していなかったことが主因と言われるが、
3か月連続の低下は休日要因では説明できない。

同指数のうち新規輸出受注指数は、
昨年以降ずっと好調・悪化の境目である50を上回っていたが、

昨年12月52.0をピークに、
今年に入って1月49.5.2月49.0と、
50を下回り低下した。

中国から見た海外経済環境が1月以降、
悪くなっていることを示すものだ。

●日本企業の収益は昨年年央をピークに下向き、生産活動も昨年末がピークか?

日本はどうか。

法人企業統計によれば、
昨年10~12月の全規模・全産業(金融・保険を除く)の経常利益は、
前期比1.7%減少し、7~9月(同2.0%減)に続く2四半期連続の減少となった。

企業収益はなお高水準ながら、
昨年年央をピークに減少し始めている可能性がある。

収益増加が株高の大前提だったと考えられるが、
収益がすでにピークアウトしているということであれば、
今後の株高はなくなる。

売上が増加傾向にあるなかで収益が減少したのは、
コストが売上以上のペースで増加しているためだ。

10~12月の売上の前年比増加率は5.9%だったが、
売上原価の同増加率は6.9%と売上の伸びを上回った。

エネルギー・原材料価格の上昇により、
売上原価(≒変動費)が売上の伸びを上回る状況になってきている。

ここまで低水準に抑制されてきた固定費も増加し始めている。(図3参照)。

人件費の伸びは昨年1~3月の前年比1.0%増から、
4~6月2.5%増、7~9月3.2%増、
10~12月に同3.7%と加速している。

売上が増加している間はまだ良いが、
何らかの要因で売上が伸び悩むことになれば、
人件費など固定費が収益を圧迫するようになる。

一方、製造業の生産活動も頭打ちになってきている。

1月の鉱工業生産は前月比6.6%の大幅減少となったあと、
主要目の生産計画を積み上げて作成される製造工業生産予測指数によれば、
2月は前月比9.0%増、3月が2.7%減となる見込みだ。

月ごとの振れが大きいためトレンドがわかりにくいが、
この予測指数を用いて、
四半期で括った1~3月の動きを計算すると、

前期比0.2%増となり、2016年4~6月以来続いた、
生産の増加トレンドは続くことになる。

だが、予測指数は最近では2%程度下方修正されるのが普通で、
その下方修正分を織り込むと、
1~3月の生産は前期比1%程度減少する計算だ。

2016年4~6月以降上向いていた国内景気は、
転換点を迎えつつあることになる。

2月月初の株価下落は世界経済が絶好調のなかで、
インフレ懸念の高まりを示す米雇用統計をきっかけに、
景気実態とは関係なく起こったと言われる。

世界経済は力強く拡大しているため、
株価下落も一時的だという見方もある。

しかし、実際に世界経済は昨年末時点で、
すでに絶好調の状態ではなかったようだ。

株価下落はそうした世界経済の変調を反映していたとも考えられる。

今年の世界経済は、インフレ懸念が高まるなかで、
景気が減速していく、いわゆるスタグフレーションの状況になるだろう。

昨年までは、
「低インフレ下での景気加速」という経済環境で株価は高騰したが、
今年は、その正反対と言っても良い、
株式投資にとって悪い環境になる。
以上

 

※この記事は新イーグルフライから抜粋したものです

古金 義洋

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