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FXコラム

2018.05.01

国内景気動向

著者:古金 義洋


●世界経済減速により輸出が頭打ちに

世界経済の減速が日本の輸出を通じて、
国内景気が下向きに傾き始めている様子がはっきりしてきた。

OECDが発表する世界(先進国+新興6か国)の景気先行指数(図1参照)は、
世界経済の動きに半年程度先行するように作られている。

同指数は、昨年3~4月頃にかけて伸びが加速し、
経済成長率に換算した場合、
4%を超えるレベルまで上昇していた。

しかし、その後は低下し始め、
18年2月現在で3.7%程度に減速した。

昨年末以降、各地域で、
それまで上向いていた生産や販売などの指標が頭打ちになっているが、
先行指数の動きからすれば理にかなった動きだということがわかる。

一方、海外景気との連動性が強い日本の輸出については、
中国向けの資本財輸出急増などによって、
昨年末頃までは好調を維持していたが、

年明け以降の動きをみると、特に、
頼みの中国向け輸出が腰折れ気味になっている。

中国の春節の日程が毎年変わるために、
日本の輸出も1~3月は月次統計をみると振れが大きくわかりにくいが、
3か月移動平均でみると、輸出が減速している様子がはっきりわかる(図2参照)。


1~3月の輸出数量(季節調整値)は、
昨年10~12月に比べ1%弱減少したが、

うち中国向け輸出数量(季節調整値)は、
昨年10~12月に比べ4%程度減少し、
逆に、足を引っ張った。

前年比でみた輸出数量も全体では、

昨年7~9月の前年比5.8%増から10~12月4.6%増、
今年1~3月2.6%増と減速したが、

うち中国向けは昨年7~9月同12.7%増、
10~12月11.6%増、今年1~3月6.2%増と

伸びは1桁台に鈍化した。

中国のGDP経済成長率は、
今年1~3月も6.8%と高水準な伸びを続けたが、

牽引役は個人消費で、しかもサービス消費が中心であるため、
モノの輸入が増えるわけではない。

中国では、2025年の製造強国を目指す取り組みである
「中国製造2025」の掛け声に合わせて、

設備が増強、高度化され、日本からの工作機械や、
半導体製造装置などの中国向け輸出が昨年急増した。

ただ、設備増強は最終需要の増加があってこその話だ。

電子部品などの需要が伸び悩むなかでは、
半導体製造装置などの設備を増強してもそれは過剰設備になってしまう。

実際、中国国内での産業用ロボットの生産は、
17年に前年比68.1%増加したが、
今年1~3月は同29.6%増と伸びが鈍化した。

金属工作機械の生産も17年に6.8%増加したが、
1~3月は3.1%増と鈍化している。

日本の半導体製造装置の輸出(対世界向け、円金額ベース)も、
17年の前年比31.7%増から18年1~3月は同14.5%増と鈍化している。

2025年までの長期計画はどうであれ、
中国の設備増強の動きは短期的にみると一巡した感がある。

足元では、円相場が幾分円安気味に振れており、
これが多少の輸出下支え要因にはなるものの、
輸出減速の動きは今後、はっきりしてくるだろう。

●生産活動は在庫調整の局面に入った

鉱工業生産は3月に前月比1.2%増加し、
前月(+2.1%)に続き2か月連続で増加した。

鉱工業生産統計は年に1回、季節調整がし直され、
今回、季節調整値が遡って修正されたが、

1~3月は事前予想通り前期比1.4%減と、
16年1~3月以来の前期比減少となった。

5月16日に発表予定の1~3月のGDPも、
マイナス成長になるおそれがでてきた。

主要産業の生産計画を積み上げて作成されている製造工業生産予測調査によれば、
生産は4月前月比3.1%増、5月同1.6%減の見込みだ。

この予測通りに推移した場合の4~5月の平均生産水準は、
1~3月平均に比べ3.8%増と高くなる見込みで、
そうなれば1~3月のマイナスは一過性だということになるが、
当てにはなるまい。

なぜなら、
製造業の生産活動が在庫調整の局面に入ったとみられるためだ。

在庫調整局面に入ったかどうかをみるための指標は出荷・在庫バランスで、
これは出荷の前年比から在庫の前年比を差し引いたもの。

景気のピーク近辺では経営者の姿勢はまだ強気であるため、
生産は増加するが、実際の販売は伸び悩むため、
「予期せざる在庫増」が発生する。

増加した在庫の調整のため、
販売が伸び悩むなかで生産を大幅に減らさなければならず、
それが景気後退につながる。

今の状況は典型的な「予期せざる在庫増」が発生している局面だ。

3月の鉱工業の出荷と在庫の動きをみると、
出荷の前年比がゼロと伸び悩み
(昨年10~12月は+3.1%、今年1月+2.2%、2月+0.7%)、

反面、在庫の前年比が+4.1%(昨年12月が1.9%)と伸びが加速した。
このため、出荷・在庫バランスのマイナス幅は4.1%ポイントに拡大した(図3参照)。


とくに、電子部品・デバイス工業においては、
在庫が前年比20.2%の大幅増加となり、
出荷・在庫バランスのマイナス幅は拡大している。

iPhoneXの売れ行き不調などにより電子部品の売上が伸び悩み、
売れ残り在庫の増加が続いていることを示す。

その一方で、世界的な設備投資ブームを背景とする、
はん用・生産用・業務用機械工業の
出荷・在庫バランスのプラス幅は3月にやや拡大し、
景気の下支え役になっている。

だが、これまで急増していた、
中国の設備投資が明らかに減速していることを考えると、
下支えがいつまで続くかは疑問だ。

国内景気はすでに下向きに転じ始めているのではないかと思われる。
それが、

(1)長期化し、しかも深刻な悪化となって、リセッション(景気後退)になるのか、
(2)それとも、短期的で、軽微な在庫調整に終わるのか、

については、現在の国内景気指標からは判断できないが、

米国の金利・株価動向、
米中の貿易摩擦が容易に収まりにくいこと、
中東などの地政学リスクの高まり、などからみて、

世界経済の減速傾向も今後強まるとみられるため、
(1)の可能性がより高いのではないかと思われる。

こうしたなか、日銀は4月27日の金融政策決定会合で
「2019年度ごろ」としていた物価目標2%の達成時期を、
「展望リポート」から削除した。

黒田総裁は「強力な金融緩和を続ける」と述べているが、
「2%」の目標は次第に形骸化していく可能性が高い。

日経平均は3月23日の2万617円から順調に回復し、
2月27日の戻り高値(2万2,389円)を超えてきたが、
上昇傾向が続くとは思えない。

 

以上

 

※この記事は新イーグルフライから抜粋したものです

古金 義洋

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