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FXコラム

2018.07.02

国内企業の景気判断は楽観的すぎないか?

著者:古金 義洋


●日銀短観の業況判断DIが2四半期連続の「下落」に

国内景気は下向きながら、なお堅調に推移している。
6月調査日銀短観によれば、

大企業・製造業の業況判断DI
(業況が「良い」とみる企業の割合マイナス「悪い」とみる企業の割合)は、
プラス21と3月のプラス24から3ポイント低下した。

同DIは17年12月のプラス25をピークに、
2四半期連続で低下したことになる。

一方、大企業・非製造業のDIは宿泊・飲食サービス業などの好調で、
プラス24と3月のプラス23から上昇した。

大企業・製造業DIの低下は、
トランプ政権の保護主義的なスタンスへの警戒感が
強まっていることが背景にあると考えられ、

自動車のDIは7ポイント低下したが、
保護関税が発動された鉄鋼については、
DIの低下幅が1ポイントと小幅だった。

また、大企業・製造業DIの9月見通しはプラス21で、
6月実績(プラス21)と同水準だった。

世界で保護主義的なムードが広がっているにもかかわらず、
企業の景況感は現状では意外に楽観的と言える。

実際、今回の短観で、
18年度の大企業の経常利益見通しと設備投資計画をみると、
経常利益は前年度比6.1%の減益見通しになったが、

これに対して、設備投資計画は同13.6%増と、
6月時点の見通しとしてはバブル期(1990年6月時点の12.9%増)や、
リーマンショック前(2006年6月の11.6%増)を上回る(図1参照)。

省力化投資などが主力とみられるが、
こうした外部環境下で、企業の設備投資意欲が、
非常に旺盛である点は意外感がある。

大企業・製造業の業況判断DIは2四半期連続の下落となったが、
同DIの動きは政府の発表する景気の山谷とほとんど一致する。

つまり、基本的に、方向性が下向きであれば、
景気悪化あるいは景気後退を示唆する。

ただ、DIの水準が高水準である場合、
DIの方向性が下向きであっても、
すぐには景気後退にならない場合もある。

例えば、1990年代のバブル崩壊に伴う景気後退時に関して言えば、
大企業・製造業の業況判断DIがピークを打ったのが、
1989年6月(プラス53)だったが、
景気のピークはその1年半以上あとの1991年2月だった。

また、リーマンショック時の景気後退に関して言えば、
大企業・製造業の業況判断DIがピークを打ったのが、
2006年12月(プラス25)だったが、
景気のピークはその1年強あとの2008年2月だった。

現状もDIの水準はリーマンショック時と同程度で、かなり高い。
そのため、現在のDI下落はすぐに景気後退になるわけではないが、
このまま、同DIの低下傾向が続くとすれば、
おそらく来年の前半あたりに景気後退局面入りとなるだろう。

●企業の業況判断の先行き見通しはやや楽観的すぎるきらいも

また、大企業・製造業の業況判断DIの数値をみる場合、
2つのポイントがある。

第1に「DIが上昇するか、下落するか?」。

もう1つは「DI実績が前回調査時点での見込みに対して上振れるか、下振れるか?」だ。

過去の経験則では、
DI「下落」とDI見通し「下振れ」が2四半期連続すると、
それが「景気後退」のサインになる。

現状は、DIが2四半期連続で「下落」したが、
見通しは「下振れ」していない。

昨年12月時点での3月見通しはプラス19だったが、
実際にはプラス24と上振れした。

また3月時点での6月見通しはプラス20っだたが、
実際にはプラス21と上振れした。

企業からみると、景気はやや変調をきたしているが、
今のところ大きなショックが表面化しているわけではなく、
景気の落ち込みは「予想外」なものになっていない。

ここまでの企業の見方はどちらかと言えば慎重で、
現実の下向きの程度は想定の範囲内だった。
それが、ここまでは景気の底固さにつながっていた。

しかし、今回の6月時点の見通しをみると、
最近の保護主義ムードの高まりにもかかわらず、
企業の先行き景気見通しはむしろ楽観的のように思われる。

今後、米中貿易摩擦が激化していった場合、
それが企業にとっては「想定外のショック」になる可能性がある。

そして、それは景気を失速させるおそれがある。

●日銀短観の業況判断DIが2四半期連続の「下落」に

一方、鉱工業生産・出荷・在庫の動きは、
ゴールデンウィークの影響がうまく季節調整できていないということもあってか、
4月から5月にかけての数値の動きは判断に苦しむ内容だった。

判断材料として重視しなければいけないのは、

鉱工業の「出荷・在庫バランス」
(出荷の前年比から在庫の前年比を差し引いた数字)で、

これがプラス圏であれば景気は上向き、
マイナス圏なら在庫調整局面を意味し、
景気は下向きということになる。

この出荷・在庫バランスは3月にマイナス2.5ポイントと低下し、
在庫調整局面入りかと思わせたが、

4月はプラス1.9ポイントと反転上昇し、
5月は小幅反落しプラス0.6ポイントとなった(図2参照)。

4月の反転上昇は、一見、
在庫調整一巡かと思わせる動きだったが、
詳細をみると自動車など輸送機械の出荷が増加し、
在庫が減少したことが原因だ。

4月は対米自動車輸出が増加しており、
こうした輸出増を反映したものと考えられるが、
米国の自動車販売が増加しているわけではない。

国内在庫が減っていたとしても、その分、
米国内の在庫が増えていることになる。
4月の出荷増、在庫減も一過性の動きだったと言える。

実際、5月は4月の反動で、
輸送機械の出荷は減少し、在庫が増加した。

一方、電子部品の出荷・在庫バランスの悪化は続いている。

電子部品は、昨年秋以降の出荷の低迷が続いており、
一方で、生産調整が十分でないため、
在庫が増え続けているという状態だ。

他方、はん用・生産用・業務用機械については、
世界的な設備投資ブームを背景に、
出荷・在庫バランスはプラス圏を維持してきたが、

足もとでは、下落している電子部品の動きに引きずられて、
プラス幅が縮小している。

機械の種類によって動きは幾分異なるが、
昨年、年率6割増程度のペースで急増していた半導体製造装置の
輸出や外国向け工作機械受注の伸びは、
それぞれ10~20%程度のペースに鈍化している(図3参照)。

トランプ政権の確信犯的な保護主義スタンスは、
米国内企業の設備投資マインドにも悪影響を及ぼし始めたようだ。

米国の設備投資の先行指標である、
非国防資本財受注(航空機を除く)は、
昨年9月の前年比13.3%増をピークに、
直近5月は同6.1%増に減速している。

短観によれば、日本では設備投資が大幅に増加する見通しだが、
日本企業だけが設備投資を増やすことにはならないだろう。

電子部品産業の在庫調整が進むなかで、
海外企業の設備投資が日本の投資財の輸出を増加させ、

それが機械産業の景気を押し上げるという形で、
国内景気が下支えされてきたが、
下向きの力の方が徐々に強まっていくだろう。

以上

※この記事は新イーグルフライから抜粋したものです

古金 義洋

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