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FXコラム

2018.08.07

国内景気動向

著者:古金 義洋


●輸出はすでに頭打ちになっているが、正念場はむしろこれから

国内景気は今年に入り足踏み状態となっていた。
そうしたなかで4月以降、飛び込んできた悪いニュースが米中貿易戦争だった。

貿易戦争が日本の輸出環境を悪化させ、
また、企業の投資マインドを減退させて、
足踏み状態だった景気をさらに悪化させるのではないかという懸念が強まっている。

現状はどうか。
企業の景況感はやや下向きになりかけている。

日銀短観(6月調査)によれば、
貿易依存度が相対的に小さい「大企業・非製造業」の
業況判断DIが1ポイント上昇したのに対し、

貿易戦争の影響を受けやすい
「大企業・製造業」のDIは3ポイント低下した。

ただ、同じ短観で今年度の企業の設備投資計画をみると、
企業の投資意欲は決して減退していない。

輸出にも目立った影響は現われておらず、貿易戦争の影響は、
今のところ「景況感」を幾分悪化させているにすぎない。

ただ、トランプ政権の保護主義的なスタンスが、
ここまで日本の景気を牽引してきた輸出の動きに影響を及ぼすのはこれからだ。

輸出の動きを財別にみると、

2016年には電子部品など情報関連が、
17年には世界的な設備投資ブームのなかで資本財が、
18年年初は自動車の輸入関税を懸念した駆け込み輸出からか、
自動車が増加した(図1参照)。

しかし、足もとでは全体として輸出の増加は一服となっている。

ここまでの動きはトランプ政権の保護主義、
あるいは米中貿易戦争とはそれほど関係のない動きであり、
保護主義化の影響という意味では、これからが本当の正念場になる。

まず、自動車の輸入関税がどうなるかという点。

米国内でも反対意見が強いため、
回避される可能性はあるが、
発動されれば、影響は甚大だ。

2017年の日本の対米自動車・同部品の輸出は5.5兆円に上り、
輸出全体の約7%を占め、GDPの約1%に相当する。

次に、米中貿易戦争の間接的な悪影響がどうなるかという点。

中国から米国への輸出にブレーキがかかれば、
国際的なサプライチェーンのなかで、
間接的に日本の輸出にも悪影響が及ぶことは必至だ。

米国の中国からの輸入5,056億ドル(2017年)のうち、
機械類、通信機器、コンピュータの3品目だけで全体の約6割を占め、
これは円換算で34兆円にも上る。

これらに、日本製の電子部品が使われていたとしよう。

日本から中国向けの電子部品輸出が、
1.0兆円(2017年)にすぎないため、

中国の米国向け機械類、通信機器、
コンピュータ輸出が制限されたとしても、
影響は限定的とみることもできなくない。

しかし、実際には、
日本製の電子部品はアジア域内のサプライチェーンで使用され、
最終的に機械類、通信機器、コンピュータとなって、
中国から米国に輸出されていると考える方が現実的だろう。

日本から中国を含むアジアへの電子部品輸出は3.5兆円(2017年)で、
GDPの約0.6%に相当する。

 

●電子部品の在庫調整は遅れており、
米中貿易戦争によって深刻な影響が及ぶおそれ

国内製造業の生産活動は今年に入って増加が止まり、
横ばいとなった。四半期ベースでみると、

鉱工業生産は2016年4~6月以降、
17年10~12月にかけて増加傾向を辿ってきたが、
18年1~3月には前期比1.3%減と減少に転じたあと、
4~6月は同1.2%増となった。

つまり、4~6月は1~3月の減少分を取り戻せなかった。

鉱工業生産の数字からみると、
10日発表予定の4~6月のGDP経済成長率についても、
せいぜい年率2%程度にとどまるものとみられる。

悪すぎた1~3月の反動という程度の評価にとどまるものとみられ、
決して復調とは言えない数字になるだろう。

このところの生産活動の停滞は、
電子部品の売上の伸び悩みや海外景気減速による輸出鈍化が主因だ。

電子部品・デバイス工業では、
6月の出荷の前年比が0.2%減とほとんど増えていないのに対し、
生産は増え続けている(6月の前年比は5.1%増)。

その結果、過剰在庫が膨れ上がり、
6月の在庫は前年比35.7%増に達した。

本来、過剰在庫を減らすには、
思い切った生産削減が必要な状態だが、
それがなされていない。

在庫調整は遅れていると言わざるをえない。

そうしたなかで、もし米中貿易戦争の影響が表面化し、
電子部品の輸出が大幅に落ち込むようなことになれば、
過剰在庫はさらに膨らみ、産業への影響は決定的なものになるだろう。

一方、足元で輸出が鈍化しているのが、
はん用・生産用・業務用機械工業だ。

2017年は、資本財輸出の増加が輸出全体を押し上げたのは前述した通り。
特に半導体製造装置の輸出(金額)は前年比31.7%増と急増したが、
伸びは徐々に鈍化し、直近6月だけをみると同0.7%減と減少に転じた。

直近の動きをみる限り、
昨年までの世界的な設備投資ブームも一巡した感がある。

国内設備投資は、昨年のブームに乗り遅れた感があったが、
人手不足による省力化投資の必要性が強まっていることもあってか、
日本企業の投資意欲が盛り上がり始める兆しもみられる。

日銀短観6月調査によれば、
18年度の大企業の設備投資計画は13.6%増と、
前回3月調査の計画(2.3%増)から大幅に上方修正された。

13.6%増という計画は6月時点の計画としては、
バブル絶頂期の1990年度や、
前回の景気拡大期の2006年度を上回る数字だ。

では、国内の設備投資の好調が、
海外の設備投資の減速分を補えるのか?

工作機械受注をみると、海外からの受注の伸び(前年比)は、
17年11月に65%増でピークを打って、
その後、鈍化し、6月は9%増に減速している(図2参照)。

一方、国内からの受注の伸びは、
海外分の動きに幾分遅れてはいたが、

18年1月に47%増でピークを打ち、
その後、海外分と同様に鈍化し、
6月は15%増に減速している。

海外企業の設備投資減速により、
日本の資本財輸出が停滞するなかにあって、
国内の設備投資がその資本財輸出の停滞を補えるほどの
好調を維持できると考えるのは楽観的だろう。

国内景気は現在の足踏み(横ばい)状態から、
今後は徐々に下向きになっていく可能性が高い。
株価も次第に下向きに変わっていくとみられる。

金利に関して言えば、
日銀は10年国債利回りの変動幅を上下0.2%に広げ、
上限プラス0.2%までの上昇を認めることを決めた。

プラス0.2%まで上昇するとすれば、
おそらく米国長期金利が上昇し、
それにつれて上昇する場合だろう。

以上のような国内景気の様子からすると、
国内要因だけをみると、むしろ長期金利は下げ方向だ。

日米長期金利差は広がる方向であり、
為替相場は円安傾向が続くとみられる。

 

以上

 

※この記事は新イーグルフライから抜粋したものです。

古金 義洋

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