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FXコラム

2018.09.03

中国の政治・経済情勢

著者:古金 義洋


中国の政治・経済情勢

●習近平主席は「爪を隠す」のをやめ、
虎の尾を踏んでしまった

中国において政治権力を完全に掌握したかにみえた
習近平総書記が意外にも内政で苦境に立たされている。

毎年夏に、共産党の指導部や長老らが河北省の避暑地に集まり、
人事や重要政策について非公式に議論する「北戴河会議」では、
天安門以来の大事件が起こるのではないかとのウワサが事前に広がっていた。

習近平総書記が失脚するのではないかというものだった。

実際には、そうした大事件はなかったわけだが、
火の無いところに煙はたたない。

習近平の独裁体制に問題が生じているというのは事実のようだ。

米中貿易戦争が深刻化していることが、
習近平主席批判の強まりの直接的な原因であることは明らかだ。

5月17-18日の米中閣僚協議では、
中国が米国からの輸入を大きく増加させることで
合意し共同声明まで発表したが、

同29日に米トランプ政権は、
対中輸入品500億ドルに追加関税をかけると表明し、
一転、合意をひっくり返した。

もちろん、こうしたトランプ大統領のちゃぶ台返しは
今に始まったことではない。

そうしたなかで、共産党指導部や、
長老らの批判が習近平主席に集まっているのは、
習近平主席のあまりに目立つ振る舞いが、
米国の怒りに火をつけてしまったという点だ。

これまで鄧小平以来の中国の歴代政権は、
「韬光养晦(能ある鷹は爪を隠す)」の方針で、
米国との関係を良好に保つことを最優先してきた。

しかし、習近平主席は、「爪を隠す」ことをやめてしまった。

中国がかつての世界の強国の地位を取り戻す夢を
実現することへの意欲を隠さなくなった。

そうした行動が米国の対中政策を硬化させてしまった、
との批判が習近平主席に集まっているわけだ。

 

●株価下落による消費の落ち込みに加え、
インフラ投資が予想以上に落ち込む

現状の中国の経済指標をみると、
株価の下落が続いているものの、全体的には、
貿易戦争で中国経済が大きく動揺している様子はない。

4~6月のGDPは前年比6.7%と前期(6.8%)に比べやや鈍化したが、
前期比は1.8%(前期は1.4%)と加速した。

1~6月の成長率前年比(6.8%)のうち、
個人消費の寄与は5.3%、
固定資産投資の寄与は2.1%で、
純輸出の寄与はもともとマイナス0.7%だ(図1参照)。

成長の8割近くが個人消費の寄与であることから言えば、
貿易戦争も中国経済に決定的な影響を及ぼすものではないともいえる。

実際、貿易戦争への懸念から、
大きく落ち込んでいいはずの製造業の景況感も、
さほど悪くなっていない。

製造業PMI(国会統計局発表)は、
今年3月以降、51.2~51.9の間で、
ほぼ横ばいで推移している。

8月は51.3と7月の51.2からわずかながら上昇した。
ただ、7月の景気指標をみると、
内需関連の指標の一部で懸念すべきものもみられた。

小売売上高は前年比8.8%増と、
前月(9.0%)に比べやや鈍化した。

通信機器、家電製品の伸びが鈍化し、
とくに問題だったのは自動車の減少が続いた点だ。

7月は自動車の輸入関税引き下げと同時に、
国産車の取得税も引き下げられ、
自動車販売増加が見込まれていたが、
見込み外れだった。

株価下落が消費者心理に悪影響を及ぼし、
耐久財消費を低迷させた可能性がある。

また、インフラ投資の落ち込みが急だ。

1~7月の固定資産投資は前年比5.5%と、
1~6月(同6.0%)に比べ鈍化した。

うちインフラ投資全体(電力・ガス・水道を含む)は、
17年初めまで2割増の勢いで増加していたが、

1~7月は同1.8%増とほとんど伸びが止まった。
7月単月でみると、前年割れしている状態だ。

4月27日の
「金融機関の資産運用業務の規範化に関する指導意見」で、

PPP(官民連携)プロジェクトへの資金流入が抑制されたことが、
予想以上のインフラ投資抑制効果を生んだおそれがある。

 

●経済政策は再び景気重視に

景気減速への懸念に加え、
自らへの政治的な批判が強まっていることの焦りからか、
習近平主席は経済政策を景気重視に大きく舵を切ってきた。

7月23日の国務院常務会議は、

(1)積極財政を一段と積極化し、
(2)金融政策を従来の「穏健中立」から「穏健」へと緩和気味に変更し、
(3)金融面から中小・零細企業のサポートを強化する、

ことを決めた。

おそらく、インフラ投資を再び加速させることで、
貿易戦争に備え、景気を下支えるつもりだろう。

景気の落ち込みを防ぐという点では、
この政策転換は極めて妥当と言えるかもしれない。

しかし、その一方で、長期的な成長を見越した場合、
増え続ける債務に歯止めをかけることは必要不可欠だ。

実際、つい最近までは、
金融機関のデレバレッジにつながるような構造調整策がとられてきた。

もし景気がさほど悪くなっていないということであれば、
政治的な批判をかわすために財政・金融面からの
過剰な景気刺激策を実施することは、
のちのち問題化することは間違いない。

中国経済については、
現状では貿易戦争による下振れリスクが懸念されるが、
反対に、景気対策の規模によっては、
今後は上振れリスクをも心配しなければいけなくなる可能性がある。

前者であれば世界経済の減速傾向は、
次第に色濃くなっていくだろうが、

後者なら中国の過剰な景気刺激策により
世界経済が再び上向くというシナリオもないわけではない。

最近のバルチック海運指数の動きは、
前者のシナリオが優勢であることを示唆しているが、
今後の動きに注目しておく必要がある(図2参照)。

 

以上

 

※この記事は新イーグルフライから抜粋したものです。

古金 義洋

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