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FXコラム

2018.10.01

国内景気は土俵際で踏みとどまっている状況

著者:古金 義洋


国内景気は土俵際で踏みとどまっている状況

●在庫調整圧力は製造業全体に広まりつつあり、7~9月は再びマイナス成長の公算も

8月の鉱工業生産は前月比0.7%増と、
4か月ぶりの増加に転じた。

一応プラスに転じたことから、経済産業省によれば
「生産は緩やかに持ち直している」との判断になったが、
前月時点で主要産業の生産計画を集計した生産予測指数によれば、
8月の生産は前月比5.6%増加するはずだった。

蓋を開けてみれば微増にとどまり、
計画は大幅に下方修正されたことになる。

しかも、この予測実現率
(=下方修正率=8月生産実績÷前月時点での8月生産計画)は、

はん用・業務用機械のマイナス8.4%を始めとして、
電気・情報通信機械(マイナス5.9%)、
電子部品・デバイス工業(マイナス5.6%)など、
業種を問わず、全体に広がっていた。

下方修正は7月の西日本豪雨などによるものとの見方もあるが、
下方修正が一部の業種でとどまらず、全業種に広がっていることは、
それが災害などによる地域限定の動きではないことを示す。

実際、電子部品などにの在庫調整の動きは、
製造業全体に広がりつつある。

在庫調整の動きを計る「出荷・在庫バランス」
(出荷の前年比マイナス在庫の前年比)をみると、
製造業全体では、出荷の前年比が+0.9%と、
ゼロ近辺で低迷を続けているのに対し、

在庫の前年比は+2.9%と5月以降2%台で
じりじりと増加テンポを高めているため、
出荷・在庫バランスは3か月連続のマイナスとなった(図1参照)。

軽微ではあるが、
はっきりと在庫調整の局面に入っていることがわかる。

業種別にみると、電子部品・デバイス工業の在庫調整圧力は一段と強まっており、
出荷・在庫バランスは40%ポイントを超える大幅マイナスとなっている。

おそらく新型iPhoneの需要を見越した在庫積み増しが行われているもようで、
8月の在庫は前年比43.0%増と増加に歯止めがかかっていない。

これに対して、出荷は前年比3.2%のマイナスで、
このまま見込み通り出荷が大幅に増加しなければ、
積み増した在庫の多くは後ろ向きの過剰在庫になる。

一方、はん用・生産用・業務用機械工業でも、
4月頃までは2桁増の勢いで伸びていた出荷の増加が頭打ちとなり、
8月の出荷は前年比2.9%増と鈍化した。

牽引役であった中国企業の設備投資が減速し出したもようで、
それが急ブレーキの原因になっているようだ。

需要の伸び鈍化により、
在庫の前年比マイナス幅は1.3%まで縮小している。

結果として、はん用・生産用・業務用機械工業の出荷・在庫バランスは、
8月時点で4.2%ポイントと小幅なものにとどまった。

9月以降の製造業全体の生産計画をみると、
9月の生産は前月比2.7%増と盛り返す計画になっているが、
8月同様に、計画が下方修正される可能性は高い。

過去3か月の予測実現率は平均マイナス3.3%。
したがって、「2.7%増」の計画通りの生産増加は見込みにくく、
むしろ生産は再びマイナスになる可能性がある。

多少甘めにみて、前月比ゼロと横ばいになったとしても、
7~9月の生産は前期比1%程度のマイナスになる計算だ。

鉱工業生産の1%マイナスは実質GDPに換算すると、
ほぼゼロ成長に相当する。

実際、今年1~3月は鉱工業生産は前期比1.3%のマイナス、
実質GDPが前期比0.2%のマイナスだった。

4~6月のGDP成長率は前期比プラス0.7%とプラス成長に転じたが、
7~9月はゼロ成長、ないしマイナス成長になる可能性がある。

●人件費が増加し続けるなかでの景気低迷長期化は企業収益を確実に悪化させる

景気が今年に入って、ほとんど横ばい、
あるいはやや下向きの状態であることは、
以上のような鉱工業生産やGDPの動きだけでなく、
10月1日に発表された9月調査日銀短観からも確認された。

景気の一致指標である、
大企業・製造業の業況判断DIは3四半期連続の低下となった。

3四半期連続低下は、
2007~09年のリーマンショック時以来のこと。

3月が1ポイント下落、
6月が3ポイント下落、
9月が2ポイント下落であり、

いずれも下落幅が小幅にとどまっているという点では、
リーマンショック時とは異なるが、
景気停滞が長期化していることは間違いない。

景気は、なんとか土俵際に踏みとどまっている状態と言えようが、
なんらかのショックがあれば、
一気にリセッションに突入してしまう可能性が強いとも言える。

こうした状況にあって、日本の株価は、
企業業績の好調などを理由に高値更新を続けているが、
ミクロの企業業績とマクロの景気の動きが食い違う場合というのはどういう場合か。

通常、マクロの景気が悪くともミクロの企業業績が良い局面というのは、
企業がリストラなどを行い、人件費などのコスト削減で、
企業が利益を増やしている場合だろう。

今はそうした局面とは全く反対の状況だ。

企業の人手不足感は強く、
雇用は増加し、賃金も上向いている。

このため、「1人当たり雇用報酬×雇用者数」でみた、
日本全体としてのGDPベースの雇用者報酬(企業にとっての人件費)は、
4~6月に前期比1.4%、前年比4.1%増と、
かなりのペースで増加した。

これに対して、名目GDPは4~6月も前期比0.7%、
前年比0.6%しか増えていない。

雇用者の分け前+企業の分け前を合計した
全体としての所得(名目GDP)が増えていないのに、
人件費にとられる分が増えれば、
企業の取り分が小さくなっていくのは自然だ。

鉱工業生産の動きからみて、7~9月の成長率がゼロ
(物価上昇率に相当するGDPデフレータも横ばいとすると名目GDPの伸びもゼロ)、

これに対して、雇用者報酬の伸びが
前期比1%程度のペースで増えていくとすれば、
両者の動きは一段とかい離していく(図2参照)。

人件費が企業収益を圧迫する構図ははっきりとしていくだろう。

これだけマクロの景気低迷が長期化すれば、
企業収益に影響が全く及ばないと考えるのは不自然だ。

企業業績への期待も剥げ落ち、
株価が調整に向かう可能性は高いと考えられる。

以上

※この記事は新イーグルフライから抜粋したものです。

古金 義洋

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