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FXコラム

2018.11.05

製造業中心に減速しつつある世界経済

著者:古金 義洋


●米国の一人勝ちは続くが、米国経済の先行きにも危うさ

世界経済の減速が次第に明らかになってきた。
7~9月の各地域のGDP成長率が発表されている(図1参照)。

中国が前年比6.5%(4~6月は6.7%)、
ユーロ圏が前年比1.7%(同2.2%)と減速した。

14日に発表される日本のGDPは、
1~3月の前期比マイナス成長のあと、
4~6月はプラスに浮上したが、

7~9月は再びマイナス(マイナス0.3%の予想)となり、
前年比では0.4%程度(同1.3%)と予想されている。

米国は前期比年率3.5%(同4.2%)と幾分減速したものの、
日欧に比べ高成長が続いている。
前年比でみると3.0%と4~6月の2.9%に比べ加速した。

この数字だけをみると、
米国の一人勝ち状態は続いているようにみえるが、
内容は決して良くない。

米国の成長を支えているのは、今や個人消費だけ。
7~9月の前期比年率成長率3.5%のうち、
個人消費の寄与度は2.7%だった。

反面、住宅投資が3四半期連続で減少し、
海外景気減速とドル高で純輸出の赤字幅が拡大し、
設備投資の伸びも鈍化した。

しかも、在庫投資が増加し、
これが成長率を年率2.1%押し上げた。

GDPから在庫変動の動きを除く「最終需要」の伸びは、
年率1.4%にとどまった。

つまり、生産活動は好調だったが、
生産増加3.5%分のうち実際の販売(売上)に回ったのは1.4%で、
残りが売れ残り、2.1%分が在庫増加になったと解釈できる。

7~9月に在庫が増加した分については、
企業は10~12月以降の生産活動を抑制しなければならなくなる。
一人勝ちの米国も他の国に足をひっぱられ始めているようだ。

実際、10月の米国のISM製造業景況感指数は、
57.7と前月(59.8)に比べ低下した。

景況感指数のうち先行指標であり、
株価との連動性も高い新規受注指数は、
57.4と2か月連続の大幅低下となり、
17年4月以来の水準に落ち込んだ(図2参照)。

確かに、企業の景況感が上昇一服となっているのに対して、
雇用環境の良さを背景に家計の消費マインドは強い。

10月の雇用は順調に増加し、
賃金増加テンポも徐徐に加速し始めている。

ただ、雇用・所得の増加に減税効果を考慮しても、
家計部門の実質可処分所得の伸びは、
年率3%程度(直近9月の前年比は2.9%)にとどまる。

7~9月の実質個人消費の伸び(年率4.0%)は
「家計が貯蓄を取り崩しながら消費を増やしていること」を意味し、
どこまで続くかどうか疑問だ。

一方、設備投資の先行指標である非国防資本財受注(除く航空機)は、
8月前月比0.2%減、9月同0.1%減と、
わずかながら2か月連続で減少した。

今や、米国経済、ひいては世界経済を支えているのは、
米国の個人消費であると言えるが、
それが貯蓄を取り崩しながらなされているものだとすれば、
かなり心もとない。

雇用など景気の一致指標はなお増加しているが、
受注などの先行指標が頭打ちになりつつあることは約半年先、
つまり来年春以降の景気が危くなることを示唆している。

●欧州でも製造業中心に景気が減速、日本の景気は失速も

欧州ではマークイットが発表する製造業PMIが、
10月に52.1と景気判断の分かれ目である50に接近、
昨年12月の60.6からほぼ一貫して下落傾向を続けている。

また、10月のユーロ圏景況指数が109.8となり、
昨年12月の115.2をピークに、
やはり10か月連続の低下となっている。

ユーロ圏景況指数はユーロ圏の成長率(前年比)と、
連動するよう作られており、指数の1ポイント低下は、
前年比成長率の0.2%ポイント低下に相当する。

10月の景況指数(109.8)が一段と低下したこと
(7~9月平均の111.5に比べ1.7ポイント低下)は、
10~12月の成長率が7~9月(前年比1.7%)に比べて、
約0.3ポイント程度鈍化し、
約1.4%まで鈍化する可能性が強いことを示す。

ユーロ圏の景気の足を引っ張ったのは、
輸出依存度の高いドイツだ。

そしてドイツの景気減速は中国、
アジアなどの世界景気減速により昨年末にかけて急増した輸出が落ち込み、
製造業の景気が悪化したことが原因だ(図3参照)。

問題の中国では、景気減速に対応して、
インフラ投資や減税などで景気を刺激する政策がとられ始めているが、
その効果はまだでてきていない。

中国の1~9月の固定資産投資は、
前年比5.4%増と1~8月(同5.3%増)に比べやや加速したが、
うち電力・ガス・水道は同10.7%減(1~8月は10.6%減)、
道路や鉄道などそれ以外のインフラ投資も、
同3.3%増(同4.2%減)と低迷したままだ。

ひょっとすると、インフラ投資増加の意向は示したものの、
債務問題に配慮して、大規模な対策には後ろ向きなのかもしれない。

中国の消費はサービス消費が好調だが、
モノの消費増加には一服感があり、
自動車販売の減少は続いている。

このため、日欧やアジアなど、
周辺国の対中輸出(モノの輸出)も伸びない。

他方、日本の7~9月のマイナス成長は、
台風や地震などの影響によるものであり、

9月の輸出や生産の大幅減少についても、
台風による関西国際空港の閉鎖が原因で、
一過性の落ち込みとの見方が多い。

しかし、ドイツ同様、輸出依存度の高い日本が、
海外景気減速の影響を受けていないと考えるのはむしろ不自然だ。

自然災害による影響は多少あるにせよ、
今年に入ってからの景気減速は、
海外景気減速による製造業の生産活動の落ち込みが原因であると考えられる。

電子部品デバイス産業に加え、
これまで製造業景気を支えていた
はん用・生産用・業務用機械産業についても、
出荷・在庫バランスはマイナス域に低下し、
在庫調整局面入りした(図4参照)。

日本の景気は下向きに転じつつあり、
調整局面に入った可能性がある。

今のところ景気の落ち込み程度は不明だが、
来年の消費増税が本当に実施されれば、
景気は大きく失速する可能性が高い。

米国経済は拡大傾向だが、
先行指標が頭打ちになっていることは、
米国株価は徐々にに下向きに転ずる可能性が高いとみられる。

日本では、なお景気が良好であるという見方が多数意見だが、
少なくとも、この見方が改められない限り、株式市場は、

消費増税実施

景気の急失速(株価の急落)、

というシナリオを考慮せざるをえない。

安倍政権はどこかで消費増税再延期を発表するとみられるが、
それまでは株価の下落基調が続くとみられる。

以上

※この記事は新イーグルフライから抜粋したものです。

古金 義洋

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