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FXコラム

2020.02.17

今週のドル円相場テクニカル分析

著者:為替相場研究会主宰


Ⅲ.今週のドル円相場テクニカル分析
 

https://www.pro-fx.info/ef/200200216-2.gif
 
前週の当欄のまとめでは、
「ドルの高値を試す可能性があるも、110円台前半での上値は重たく、徐々に軟化する展開を予測する」
とした。

実際の相場においても、ドルの上値を試したが、高値は110.15止まりと、
110円台前半での上値の重さが示された格好だった。

一昨年最高値114.55(10月)を起点とする下降トレンド線MRが強い抵抗線として機能していることが分かる。

直近最高値となっている110.30(1月17日)を付けた局面、そして前週の高値は110.15を付けた局面、
いずれの局面も「抵抗線MR」に上値を抑え込まれている。

他方、下値圏に目をやると、前週の安値は109.57と、
ドルの軟化局面では109円半ばでドルは底堅さを示している。

振り返れば、前週の値幅は「110.15-109.57=0.58」と全くの膠着状態で、
市場に動意が出るとすれば、前週でも指摘した「上下にあるトレンド線」がブレイクされた時となるか。

高値圏にあるトレンド線は前述のMR、下値圏のトレンド線は
「104.46(昨年8月安値)からの支持線S(日足チャート)」である。

S線は昨年8月の安値104.46とその次の大きな押し目107.65(1月8日)を結んだドルの支持線だが、
1月下旬のドルの下押し(1月31日安値は108.31)を支えた格好である。

これでドルのサポートラインSはほぼ3点で結ばれた格好となっており、
同ラインを下回らない限りは、トレンドは上向きを維持することになる。

従って、引き続きドルの下落局面では、S線を下回るかどうかが注目される。

上値圏のMR(前週末110.10近辺)は一昨年最高値114.55(10月)を起点とする
下降トレンド線だが、強い抵抗線であることは過去から指摘してきた。

従って、足下ではドルが強含みに推移しているだけに、目先でMRを抜くがどうかが注目される。

ところで、このところの相場展開には、
「ドルの下攻めがあっさりしている(時間が短い)、上攻めが執拗(高値圏での滞空時間が長い)」
という特徴がある。

この点から言えるのは、「ドルが上昇したがっている(市場がそう望んでいる)」ということだ。

もっとも、高値圏での滞空時間が長い状況で(現況で)、
上値が開ければ良いが、開けない場合、単なる「上値遊び」に終わる。
 

・・・・・ストラテジー・アイディア
 
以下ではドルの強弱要因を指摘しながら、今週の予測をまとめた。
 

●ドルの弱気要因
 
(1)昨年最高値114.55(10月4日)を起点とする抵抗線MRが110円前半(前週末110.10近辺まで下降している。

1月17日に年初来高値(110.30)を付けた局面で見られた様に、足下の局面でも抵抗線MRが上値を抑えている。

(2)(1)との関連で週足チャートの長期支持線S(前週末110円台前半)が抵抗線化している。

(3)昨年8月以降では、スポット終値は一目の雲(下限)を下回らなかったが、前々週と前週に下回っている。

(4)(3)との関連で、今週も一目の雲が薄いため、ドルの下方リスクに要注意である。

(5)少し上値遊びが長すぎる

(6)12・13日のローソク足の関係は、実体部分で「孕み」となっている。
 

○ドルの強気要因
 
(イ)心理的節目の110.00を完全に抜いているため、昨年5月に空いた111円前後のギャップ埋めに向かう可能性がある。

(ロ)25日MA(前週末109.61)と100日MA(同108.94)とがゴールデンクロスしているため、
中期的にドルの先高感がある。

(ハ)(ロ)との関連では、100日MAが200日MA(前週末108.39)とゴールデンクロスしているため、
長期的にドルの先高感がある。

(ニ)直近下押し局面の安値は108.31(1月31日)と、
「107.65(1月8日)→110.30(直近最高値)」の
76.4%リトレースメント水準108.28を下回っていない。

(ホ)(ニ)との関連で、昨年8月の安値104.46を起点とする支持線S
(前週末108.55近辺)がサポートラインとして機能している。
 
以上の点を踏まえ、今週は以下の様にまとめた。
 

******今週のまとめ*******
 

直近のドル下押し局面での安値は108円台前半と、
昨年8月の安値104.46からの支持線Sが機能している形だが、
同線が108円半ば近辺に切り上がってきた。

この先S線を下回らない限り、中期的にドルの先高感が残る。

こうした中、前週も高値を試したが、高値は110.15止まりと、
直近最高値110.30(1月17日)を更新していない。

抵抗線MRの存在があるからだ。

従って、前週に引き続き今週も2018年の高値114.55を起点とする抵抗線MRと、支持線Sと、
どちらが先に抜けるのかという点が注目される。

現状水準(109円台後半)を考慮すれば、依然として110.30を試す可能性が残されているが、
高値圏での滞空時間が長すぎる感がある。

109円台に目が慣れてきたこともあり、109円台でもドル買いが出ているが、
追いかけての買いは出てこない点がそうした状況をもたらしている。

今週中はまだ、上値を試す展開もあり得ると見るが、
この先時間をかけずに現状水準から上値が開けない場合は反落すると見る。

まとめれば、109円台後半を中心としたドル強含み保ち合いと見るが、
基本バイアスはドルの下方向に置く。
 
一目の雲(108.90前後)が急速に薄くなるため、雲を突き抜けると、
支持線Sが試されることになるか。
 
予測レンジ:108.30~110.50
 

********************
 

Ⅳ.チャートポイント
 

**レジスタンス
110.15(前週の高値)
110.10~30近辺(長期抵抗線MR・1月17日の高値近辺)
110.52(76.4%戻し、112.40→104.46)
110.67(19年5月21日高値)
110.96(19年5月6日高値)
111.08(19年5月3日安値・・・・・110.96~111.08がギャップ)
111.60近辺(2016年12月高値118.66近辺からの抵抗線)

**サポート
109.57(2月10日安値)
108.93近辺(今週中の雲)
108.55近辺(前週末の支持線S:日足チャート)
108.31(1月31日安値)
108.28[107.65(1月8日)→110.30(直近最高値)」の76.4%リトレースメント水準]
108.07(38.2%、104.46→110.30)
107.65(1月8日安値)
107.38(50%、104.46→110.30)
106.69(61.8%、104.46→110.30)
104.46(19年8月26日安値)
*104.10(2019年1月3日の安値・・・銀行によって異なる)
 

Ⅴ.今週のポイントとストラテジー・アイディア
 
●今週の注目材料
 

*米国
 
・注目米経済統計など
18日:2月ニューヨーク連銀製造業景況指数
19日:1月FOMC議事録
1月PPI
20日:2月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
21日:2月製造業PMI

・FRB要人講演
予定なし

・FRBのスタンス
パウエル議長は前回FOMC後の記者会見で「米国の金融政策は当面適切である公算が高い」としている。

ただ、昨年も利上げムードが高まる中で、予防的利下げを3回行っている点には留意が必要だ。
 

1.物価水準が目標の2%に到達していないが、このことをパウエル議長も好ましいとは思っていない。

2.新型コロナウィルスの感染拡大を無視するかの様に内外株式相場は堅調な状況が続いているが、
世界経済と米経済への影響はこれから顕在化してくると見られる。

という点にてらせば、この先利下げの可能性を排除することはできない。

ストラテジー・アイディアの「中長期ドル円相場の基本認識」を参照
 

●ストラテジー・アイディア
 
*中長期ドル円相場の基本認識
・110円台前半(110.20近辺)まで切り下がってきた2018年高値114.55からの
抵抗線MRをクリアに抜くかどうかが注目される。

ただ、同水準を抜いたとしても、2016年高値118.66近辺からの抵抗線が
111円台半ばまで切り下がってきたことを考慮すると、
昨年5月の「窓空き」水準(111円前後)までが戻り高値としては精一杯と見る。

高値更新を続けてきた米株が行き詰まる可能性もあり、
その局面では逆資産効果への懸念から、再びFRBがハト派化する可能性がある。
・・・前述した様に、足下では既にそうした懸念が高まっていると見る。

FOMC後の会見でパウエル議長は「世界経済の復調傾向」に言及しているものの、
「新型コロナウィルスによる見通しに不透明感が残っている」とした。

今回のウィルス騒動は世界経済の減速、ひいては米経済の減速につながる可能性が高い。

議長は昨年のFRBの追加利下げを「予防的」としているが、この点に照らせば、
ウィルス騒動からの自国経済への影響に保険を掛ける(追加利下げの)可能性がある。

足下で逆イールドが復活しつつあるのも、そうした側面を示唆するものと言えるが、
「日米金利差の縮小≒ドル安円高」というシナリオも描いておきたい。

このロジックでドル円相場を捉えるとすれば、
米10年債利回りが2%以上に定着することが110円台定着の条件なのかもしれない。

最近でも米10年国債利回りが1.53%(31日終値1.50%)まで低下し、
景気後退の前兆とされる長短金利が逆転している。

・本邦貿易収支
19年も通関ベースで貿易赤字が確定し、赤字は2年連続。

モノの収支である貿易収支の赤字化はドル安円高になりづらい需給要因となる。

他方、経常収支黒字については、円高となる需給要因だが、
利子・配当のすべてが円転されるわけではない。

・FDI(対外直接投資)が増加しているため、外貨(ドルなど)を支えている。
 

*今週のストラテジー
 
https://www.pro-fx.info/ef/200200216-3.gif
 

○基本戦略
ドル売り

・理由
前々週後半から高値圏で推移しているが、上値遊びが長すぎる印象を受ける。
・・・参考図最上段

ドルの上値を試す展開も見込まれるが、依然として110円台からは伸びが鈍いと見る。

テクニカル面では、
(1)長期抵抗線MR(日足チャート)が110.10近辺まで下降する一方で、
抵抗線化している2016年最安値99.00からの支持線S(週足チャート)が110円台前半に位置する。

(2)ローソク足では、12・13日の実体部分が孕みとなっている。

14日の十字線も13日の実体より下に位置するため、印象の悪い足型である。
・・・参考図中段

・ドル売り推奨水準
積極的水準:109.80~110.20
ニュートラル水準:110.20~30
コンサーヴァティヴ水準:111円前後

注)利食い・損切りは個人のトレーディング・スタイルやトレーディング・スパンが異なるため、
特に推奨水準はありません。

推奨水準は単なる筆者の分析結果であり、その水準での取引を勧めるものではありません。
 

投資の最終判断は自己責任で行ってください。

為替相場研究会主宰

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