元チーフディーラー集団(柾木 利彦、西原 宏一、伊藤 寿彦、竹内 のりひろ)+各分野一流の執筆陣の相場記事

メディア

無料講座・メルマガ

おすすめ商品

おすすめ会社

FXプライムbyGMO

スパンモデル標準搭載

FXコラム

2018.11.12

Brexit交渉でよく出てくる「バックストップ案」とは?

著者:松崎 美子


本記事は、新イーグルフライから抜粋したものです。

————

 

これを説明するには、1990年代にまで遡らなければなりません。

 

*** ベルファスト合意

南北アイルランドの国境は500キロに渡り、そこを行き交う車の数は、1カ月に180万台。そして、400の道路が国境をまたいで通っています。

アイルランドには32の州があり、そのうち26州が1922年に英国領から独立し、アイルランド共和国となりました。残りの北部6州は北アイルランドとして、英国領に残ることを選択したのです。

アイルランド分裂の裏には、ナショナリストとユニオニストによる争いがあることは、日本でも知られていると思いますが、ナショナリストとはカトリック教徒であり、アイルランド統一を支持。

それに対し、ユニオニストは、スコットランドやイングランドから移住してきたプロテスタント教徒が多く、英国連合王国に留まることを希望しています。

1960年代後半から、これらの2大勢力が紛争を起こし、1998年にようやく和平交渉(ベルファスト合意)が結ばれました。その時を境に、南北アイルランド間の物理的な国境がなくなり、人もモノも自由に行き来できるようになったのです。

EUも英国もベルファスト合意継続を最優先事項としてBrexit最終案を設定したいという気持ちは同じであるため、この問題を巡りずっと協議を重ねてきました。

 

***  バックストップ案とは?

ベルファスト合意を守り、南北アイルランド間の国境設置をしないための「最後の砦」のような保険が、バックストップ案です。そもそも英語のバックストップとは、野球のキャッチャーの後ろにある高い網を指しており、ボールが何かの拍子に観客に当たらないための防御措置です。

1998年以降、南北アイルランド間では、モノの移動(貿易)の際におきる検疫や関税、税関チャックなどは必要ありません。

英国がEU離脱後も関税同盟に残留し続けるのであれば、何の問題もありません。しかし、英国はEU離脱後は一切の関係を断ち切りたいため、関税同盟からも離脱すべきだという姿勢を崩しません。

2年間の交渉が終了し、その後の移行期間中に、EUと英国との間で貿易交渉合意ができなかったり、交渉終了前に「合意なき離脱」で英国がさっさと離脱してしまった場合、モノの移動の際には税関チェックなどの「国境検査」を導入しなければならないため、南北アイルランド間にも新しい国境設置の必要性が出てきます。

この必要性を避けるために、バックストップ案という保険をあらかじめ決め、あくまでも南北アイルランド間の国境設置を避けようとしているのです。

 

***  具体的なバックストップ案内容

ここまでにいくつものバックストップ案が出て来ました。EU側が提示しているバックストップ案は、英国は離脱後も「一生」関税同盟に残留すること。そうすれば、アイルランド国境問題は即解決する。しかし、英国はこの案には反対です。

英国側からの提案は、何度も変更されました。つい先週までは、移行期間終了後「数ヶ月の間に限り」一時的に関税同盟に残留し、それまでに国境問題の解決を探る  という内容でした。

しかし、ここに来てメイ首相は大きく考えを変え、「北アイルランドだけ、移行期間終了後も、一部のEU規制を受けることになる」と発表しています。

これは当然、英国下院に10議席を持つユニオニスト党であるDUP党が、猛反対しているところです。

このように、どの案を選択しても、英国議会での賛成を得るのは、かなり難しいというのが、現時点での感想です。

 

————

本記事は、新イーグルフライから抜粋したものです。

松崎 美子

>> 著者ページはこちら

新着情報

メディア情報

無料講座・メルマガ

おすすめ商品

FXプライムbyGMO FXプライムbyGMO

おすすめ会社

スパンモデル標準搭載

トップに戻る